療養型病床群への転換
内科系の立場から
小笹 慶資
本年4月の医療法改正に於て、診療所にも療養型病床群の設置が認められたことは、有床診療所にとって大きな道が開かれたものと言える。
然し、施設設備や人員の配置、経営上のメリット・デメリット等さまざまな考慮すべき問題があるので、内科系の立場から検討を加えた。
1.施設設備及び人員配置
施設設備の基準は、表0‐1に病院、表0−2に有床診療所(以下有診と記載)を示したが、有診に対して機能訓練室、談話室についてが、緩やかになっている外はほヾ同じで、都心部の有診では、病床の減少を来たさざるを得ない点をクリアしなければ転換のメリットはないようである。人員の配置は図0−3に示すが、殆どの有診が現状でも3:1介
護を行っているので特別な困難はない。
表1は従来の病院と有診との入院点数の差を示したが、特別介護料をとっても尚1日2800円の差がある。果して療養型に転換して差が縮まるかわからない。
2.何床を療養型に転換するか
転換による収入の動きを確かめるために、看護Vの2特別介護料の認定を受けている本院に於ける4月の保険請求を19床全部について転換型に換算したところ、表2及び表2の図に示す通り、転換型1では13人に於いて2〜4万円の増収となり、6人について1〜9万 円の減収となったが、全平均では1人2万円の増収であった。転換型Uではすべて減収であった。
尚、表3例1及び図は最も増収となった例であり表3例2及び図は最も減収していた例であるが、当然のことながら投薬、注射の少ない例が増収であり多い例が減収であることを示している。
従って、本院では13床を転換型Tにすれば1番増収がはかれると云う結果を得た。然し、残った6床から特別介護料を取り払われたら何のメリットもないことになる。
私は20年特別養護老人ホーム(特養)カトレアホームを運営して来たので、国の老人対策を施設経営の面から観察して来たが、有床を療養型に転換するとすれば、特養や老人保健施設(老健)と入所費用を比較する必要があると考えたので、各施設の諸費用について概算してみた。表4の通り、特養の措置費は約32万であり、老健は健康保険から約26万又は28万、その外、利用料金が5〜8万、加算料金がねたきりおむつ使用の場合、及び室料差額があ る場合11万程になるので、計約42万〜44万円で、有診療養型で約35万円であるから、単純に比較出来ないにしても、特養に税金はなく、老健も税金が安いことを考えると、有診療養型にも何等かの加算がないと、同じ土俵で戦っているとは云えないのである。
因に、表5図は、特養の本人負担及び家族負担を示したが、本人家族の収入により、極端な差がある。保険料も大きな差があるが、何れも平均値をとったものである。
又、表6に示す老健に於ける利用料金や加算料金はまちまちであるが推測して記載したものである。
さて、今回の法改正は、2年後に迫った介護保険の施行を念頭に施行されたと云われるが、有床療養型は、病床過剰地域でも4つの条件(詳細は神奈川県有診協ホームページ
― http://www.yk.rim.or.jp/~yuushin/ を参照)の下に特例として認められることになって居り、平成12年迄に19万床を目標に、それから介護力強化病院の転換病床数を差し引いて残った数の範囲内とされ、曖昧である。
注:4つの特例とは
表7は、NTT伊豆逓信病院の大田仁史氏が老施協に書かれたものを補足して表にしたものであるが、障害老人や家族が安心出来る体勢として、@24時間の医療相談、A緊急時対応、B訪問サービス、C医療ケアも可能なデイケア、D計画入院、E終りの看取りの保障を あげたが、これらはすべて内科有床診療所が対応して来たことであり、常に医療と福祉を対立させ、医療には介護が乏しく、福祉には医療が乏しいという欠陥のために、たらい廻しされて悲惨な思いをしている障害老人を救うには、医療と福祉を対立させるのではなく、医療は福祉の一環であり、介護は看護の一環であることを介護保険の中で具体化することが望ましい。その上介護型病床迄病床規制することは、自由化の波に逆らうものであり、特権を作るよりは、競争によってよりよい環境を創出すべきではないか。介護の問題のすべてに対応出来、経済効率のよい有床診療所を競争によって活性化することが老人問題解決のより近道ではないかと考える。
その外、老人施設は地域によって甚だしく片寄って居り、不公平となっている。又、介護保険を目指して行政は老人の囲い込みをはかるおそれがあり、増々地域不公平となることが心配され、有効なてだてが必要となって居る。