有診協ニュ−ス第27号
全国有床診療所連絡協議会ニュース 有診協ニュース第27号平成9年7月発行
第10回全国有床診療所連絡協議会総会が開催さる
昭和63年8月28日、第1回目の総会が福岡で開催されてから今回は丁度10回目に当たる。さる、平成9年7月5日・6日
の両日にわたり、宮城県有床診療所協議会の担当により、ホテル仙台プラザで第10回総会が開催された。
7月5日は午後3時から常任理事会、4時から役員会が行われ5時30分から全員懇親会が開催された。 また、6日は午前
9時から総会議事に引き続き、特別講演や質疑が行われた。
本会には、日本医師会から坪井会長、糸氏副会長、宮坂常任理事をお迎えし、武見敬三参議院議員の出席もあり、400名
を越える会員が参集して盛大に行われた。本年度は、介護保険及び関連医療法が衆議院は通過したものの参議院で足止めを
食い、様々な修正がはかられている時でもあったため、当然介護保険絡みと有床診療所に対する療養型病床群の導入につい
て、討議や質問が集中した。
それにしても、発足当時と比べて会員総数が飛躍的に増加しただけでなく、総会に日医会長、副会長及び担当常任理事を迎
えて日医と緊密な連繋のもとに、本会の言わんとしていることの解決をはかるという方向に向いていることは特筆すべきことで
ある。
今後この様な運動方針を見て、更に会員数が増えて行くことになろう。ただ残念なことに、協議会設立当初より一貫して支援
していただき、十年史の表紙「有床診療所かく闘えり」を揮毫して下さった日本医師会理事、福岡県医師会会長の松田一夫先生
が仙台の総会出席を楽しみにしておられましたが、6月26日に肺癌のため急逝されました。ここに謹んでご冥福をお祈り致し
ます。
特別講演 「日本の医療」要旨 日本医師会会長 坪井 栄孝
毎日の新聞に、改革の字のない日はないぐらいである。多くは日本経済が破綻を来していることに対する対応策として行われる
べきもので、ある程度、改革は世界的なトレンドかも知れない。
日本の医療は、医療人の側から見ると決して世界より劣っているとは思わない。むしろ日本が一番優れていることもある。だから
その様に優れたものは守って、改革をすすめなくてはならない。まず国民皆保険は守らねばならない。その崩壊を防ぐためにも、
より合理的に改革を進めるべきである。
診療報酬体系は、少し改める必要もある。特に高齢化に従って、老人の医療を考え直して行かねばならない。しかし変な改革は、
排除して行かねばならない。特に「日本型DRG」は医療費削減のための導入論であり断固排除していく。薬の取り扱いについては、
長い目で見て解決して行かねばならない。これらを基盤にして、過去、今日の日本の医療を近未来につなげて行くのだ。
有床診療所のルーツは、日本医療の原点である。
昭和23年、医療法の制定が行われ医師会の活動が始まった。敗戦で何もない所から作り上げて来たのである。
昭和32年、国民皆保険になった。
次に昭和62年、国民医療総合対策本部ができ中間報告が出た。これは厚生省の主導でできたもので、本来は日本医師会が主導
でつくるべきものなのに、厚生省から提示されという屈辱を味わったものである。
それに対し、平成9年医療制度改革の基本方針は、日医と自民党の政策委員会との間で策定されたものであり、結果的には国民
皆保険制度を守るということで日医の案が修正を受け、また薬代の一部負担をのむことになったが、厚生省ぬきに行われた画期的
なものである。
平成11年より介護保険が始まるが、この中にはかなり日医の意見が入って来るだろう。
社会保障負担の構成は、
国庫(扶助)・保険料(互助)・自己負担(自)
から成り立っているが、自己負担(自助)だけを上げ、患者にしわ寄せする考えには反対である。
日医が提案している、医療構造改革の3つの主軸は
1.高度情報化社会への対応
2. 一般医療と老人医療の2極化
3. 保険医薬対策の抜本的改革(物と技術の分離)
である。(2)の一般医療と老人医療の2極化とは、医療保険は出来高払いで、老人医療(介護保険)は包括払いと分けるべきだと
いうことである。いづれにしても日医の今後のあり方としては、日医総研を基にして政策決定の初期段階から国民にはかり、立法府
に上げ、行政(厚生省)の案とつき合わせて法制化しなければならない。
講演 「高齢社会と有床診療所の役割」(要旨) 日本医師会副会長 糸氏 英吉
ベットを持って自分なりの医療をするというのは一つの理想である。
かって地域医療計画で病床規則の行われた時には私は激しい憤りを感じたものであるし、今もそう思っている。いかがわしい病院
がいくらもあるのに反して、いい医療をする病院を作ろうと思っても今は作れないのである。その中にあって唯一期待が持てるのは
有床診療所である。無床では満足できない医師としての良心が有診を支えているのである。これを日医も支えねばならない。
日医の「医療構造改革構想」とは、
A.医療提供体制
大病院の外来をやめるべきだ
B.医療保険制度
長期積立型の高齢者の医療保険制度を作る
C.診療報酬体系
出来高払と包括払を適当に組み合わせること
D.薬価制度
長期収載品の引下げを断行し、長くなればゾロなみにする。
薬価設定の不透明さも不満がある。
医療法の一部を改正する法律案は全員賛成で通過した。その(1)は、医療提供にあたって説明に関する努力規定。(2)、診療所
へ療養型病床群導入に関すること。(3)、地域医療支援病院に関することである。要するにこれからの有床診療所のあり方は、
「ベットを持てばそれだけのことはやらねばならない」として、質の高い安全な医療提供への責任をもって、国民のニーズに応えるよう
にしなければならない。
講演 「有床診療所における療養型病床群」(要旨) 日本医師会常任理事 宮坂 雄平
まだ決まってしまったわけではないが、第3次医療法の改正案が参議院にかかっている時だからこうなるだろうという予想の上に
立って話をする。
第3次医療法改正案に盛り込まれている有床診療所に療養型病床群をつけるとすれば、当然その分だけ48時間規定からはず
れるわけである。その結果、必要病床数にカウントされるので、オーバーベット地域ではできないのではないだろうかと皆さんは心配
しているようだ。日医としても今後、高齢化社会に向かう中で療養型病床群はどうしても必要だということで、有診にも必ず出来るよう
にすると約束する。
施設基準については、どの程度の特例が認められるかわからないが、あまり甘くすると他の老健施設や病院療養型病床群等との
競争に負けるだろう。施設利用は自由選択に基づくことからも、ハードの部分を広げた方が競争に有利になるため療養環境の改善
が促される。また療養型病床群に移行するための施設整備に関しての特例措置は、介護保険法がスタートする平成12年より、
せめて3年くらいあとの平成15年3月末までぐらいとなろう。それまでに移行する様にしてもらいたい。
有床診療所に療養型病床群ができる様になれば病院病床は規制されているので医療産業的な進出が起こり、サテライト型の有床
診療所を多数作ろうとするかも知れないが、これは本来の趣旨でも姿でもないので、在来の有床診療所を整備して療養型病床群を
導入してもらいたい。療養型病床群は医療保険でするのか、介護保険適用になるのか、どの様に仕分けていくのか、多分2本だてで
行くことになるだろう。
要望書を日医坪井会長へ手渡す
総会議事のあと日本医師会あての要望書が採択され、清成会長より坪井栄孝日本医師会会長へ手渡された。
日本医師会 会長 坪井 栄孝殿
要 望 書
平成9年7月6日全国有床診療所連絡協議会
会長 清成 正智
国民の医療ニーズの多様化に対応するため、医療供給体制の整備と再構築は急務である。その中で有床診療所は、世界に類を
みない日本の医療文化として地域医療の一端を支えてきたが、医療法上の地位が不確定であるために経営基盤の安定化が計れ
ず、次第に活力を失いつつある。このことは高齢少子化が進む21世紀の日本の医療資源の損失でもある。速やかにこれに対処
するため、以下のことを要望する。
(1) 日医「小規模入院施設検討委員会報告書」を基軸として、その制度化の早期実現を期すこと。
(2) 地域の「かかりつけ医」として有床診療所にも療養型病床群の導入を認めること。なおその際、在宅医療支援のためにも医療法
上の特例を設置すべきである。
(3) 地域医療において適正な有床診療所機能を支えてきた看護体制、特に准看護婦制度の維持をはかること。
(4) 病院では、新看護体系として看護料と看護補助料が創設されているが、有床診療所についても収容施設として看護補助者の
評価を行うこと。
(5) 有床診療所は常時、主治医が対応できる収容施設である。これは「かかりつけ医」機能と同時に「在宅医療」支援機能を併存
した日本独自の医療制度である。これを評価して、有床診療所に対する「入院時かかりつけ医管理料」を新設すること。
以上
平成9年度 事 業 計 画
有床診療所の活性化を図るため、以下の事業を行う。
(1) 要望書に記載した事項の実現に向かって努力する。
(2) 地域医療に於ける有床診療所機能を適正に評価し、有床診療所の持っているプロフェショナル・フリーダムを将来も堅持する。
(3) 次期、診療報酬改正にあたり、有床診療所の機能を評価できる点数設定に努力する。(4)全国有床診療所連絡協議会を
通じ、会員の大同団結をはかると共に、その組織の拡大、活性化に努める。
療養型病床群に関するアンケート調査
有床診療所に療養型病床群を認める医療法の改正案が現在参議院で審議されており我々の関心を集めているが、法案が成立
した場合、はたして有床診療所が療養型病床群を受け入れてくれるだろうかという質問が、我々有床診療所連絡協議会によせら
れた。
そこで、平成9年6月急遽有床診療所連絡協議会の全会員にアンケートを発送した。回収率は46.9%でかなり高率であった。
回答をよせられた先生方に厚く御礼を申し上げる。
その結果、療養型の病床ができれば導入すると答えたものは55.2%と高率であった。またどの程度を療養型にするかに対して
は、10床〜14床が最も多かった。これで単純計算すれば8,800床となる。それにしても宮城.岩手両県の有床診療所を対象に
行われた調査では、導入に賛成は32%、わからない53%であった。その様を点を勘案すれば、まだまだ療養型病床群にすれば
どんなメリットがあるのか、よく知らない人が多いのではないかと考えられる。またショートステイをとっている所が意外に少ないのも
特筆される。
やはり診療所老人医療管理科の有利さと使い勝手のよさをよく御存知ない会員が多いのではないだろうか。よく研究して診療所
老人医療管理科(ショートステイ)だけでも早く導入されることを望む。
療養型病床群に関するアンケート結果
発送数4,022
回収数1,878(46.6%) H9.7.3現在
1. 有床診療所に療養型の病室が出来れば導入されますか?
イ.は い....1,037(55.2%)
ロ.いいえ......749(39.8%)
ハ.その他.......64 (3.4%)
ニ.無床........28 (1.4%)
2. 導入すると答えた方は、何床程度を療養型にされますか?
1床......2( 0.1%) 7床....24( 2.3%)
2床.....25( 2.4%) 8床....83( 8.0%)
3床.....49( 4.7%) 9床....48( 4.6%)
4床.... 90( 8.6%) 10〜14床...340(32.7%)
5床....121(11.6%) 15〜19床...105(10.1%)
6床.... 87( 8.3%) その他 ...63( 6.0%)
(届出病床数の何%を療養型にするか)
10%....25(2.4%) 60%...71(6.8%)
20%...103(9.9%) 70%...35(3.3%)
30%...190(18.3%) 80%...70(6.7%)
40%...116(11.1%) 90%...11(1.0%)
50%...294(28.3%) 100%...44(4.2%)
その他...78(7.5%)
3. 診療所老人医療管理料(ショートステイ)をとられていますか?
イ.はい.......113( 6.1%)
1床....13(11.5%) 5床..... 9( 7.9%)
2床....32(28.3%) 6床以上...13(11.5%)
3床....23(20.3%) 10床以上...8( 7.0%)
4床....12(10.6%) 無回答.....3( 2.6%)
ロ.いいえ....1,416(76.5%)
ハ.検討中.....292(15.7%)
ニ.無回答......29( 1.5%)
*全国有床診療所連絡協議会調査資料