有診協ニュ−ス第24号
全国有床診療所連絡協議会ニュース 有診協ニュース第24号平成8年8月発行
全国有床診療所連絡協議会ニュース
有診協ニュース第24号
平成8年8月発行
第9回全国有床診療所連絡協議会総会特集(設立10周年記念)
全国有床診療所連絡協議会が開設されてから、創立総会を含めて今年は10回目の総会である。
それを記念して発祥の地福岡で、清成正智会長のもと平成8年7月20,21日の両日にわたり第9回
全国有床診療所連絡協議会総会(設立10周年記念総会)が開催された。
思えば有床診療所が消滅させられるのではないだろうかと危機感をつのらせ、昭和61年11月5日
福岡県有床診療所協議会が設立され、神奈川県、滋賀県などでもそれに呼応して協議会が設立され
る動きを見、それらを結集して、昭和63年2月6日神奈川県医師会館で全国有床診療所連絡協議会
の創立総会が開催された。当時は細々としたものであったが、設立の趣意書が全国に発信され、次第
に会員数を増して今では4、027名となり、日医も認知する大きな会となったのである。
7月20日はホテル日航福岡で常任理事会、役員会及び全員懇親会が行われ、21日にはアクロス
福岡で総会が開催された。
総会会場は早朝から500名を越す参会者であふれ、これまでで最大の総会となった。
まず、清成正智第9回全国有床診療所連絡協議会総会会長の挨拶ののち、坪井栄孝日本医師会
会長、松田一夫福岡県医師会長の挨拶が行われた。
総会議事のあと、日本医師会長あての要望書が採択され、糸氏英吉日本医師会副会長に手渡され
た。これは、私達が大いに期待している小規模入院施設検討委員会の答申が今では日医の中でも
忘れかけられており、あるいはこれを故意に変質させ小病院のために適用させるかのような発言が
みられたりするのに対し、要望書の形ではっきりと意志表示をしておくためのものである。
しかし医療法上での地位確立を求める方向の運動は一朝一夕にでき上がるものではないことは
わかっている。そこで今回の総会の主題の特徴は、現行の診療報酬体系のもとで有床診療所が
いかにして生き抜くかを模索するという方向がとられたことである。専門医療に力をいれるもの、
デイケアをするもの、ショ−トステイをするものなど実践報告をもとに各方向から論ぜられた。過去の
討議がややもすれば後向きに終始し、ときに臨席した日医幹部に不満をぶっつける会に終わったこと
を考えると、10年目を迎えた協議会の新たな展開を感じさせ、ある程度の方向性が示されたように
思う。
最後に糸氏英吉日医副会長の総括が行われて総会の幕を閉じた。次期総会は宮城県で開催される
ことが決まった。
設立10周年記念懇親会記
設立10周年記念総会に先立ち、前日の7月20日の午後6時よりホテル日航福岡で、懇親会が行われ
た。会は最初から、全員「全国有診協十周年記念福岡」を染め抜いたドンタクハッピを着込んで臨むという
大変リラックスしたものであった。
全国有床診療所連絡協議会会長清成正智の歓迎挨拶に続き、坪井栄孝日本医師会会長、麻生渡福岡
県知事、松田一夫福岡県医師会長、多田秀敏福岡市医師会長などの来賓挨拶が行われた。
会には300名を越す会員が日本全国から参集し活気あふれたものとなり、懇親を深めることができた。
最後はどんたく隊がくり出し、しゃもじをたたいて盛り上がり、締めくくった。
会長挨拶(要旨) 第9回全国有床診療所連絡協議会総会会長
全国有床診療所連絡協議会会長 清 成 正 智
いつも申し上げていることであるが、有床診療所とは職住一致し、かかりつけ医が24時間対応するもの
であり、世界の他の国に例をみないすぐれた医療制度である。
13年前、有診の役割は終わったとの某厚生省高官の言葉に端を発し、われわれの運動が始まったので
あるが、現在では有床診療所の評価の見直しが起き始めているのである。
介護保険がらみで医療法の改正が行われるなら、有診は病院の強力なライバルになるであろうといわれ
ている。しかし有床診療所はそれだけではない、急性期の患者もあつかっているのである。療養型病床群
への期待は有床診療所機能の一面にすぎない。したがって当面の課題は、現行診療報酬体系の中で活
性化を図ることである。現在の点数でいかにして活性化をはかるのか、本日総会のシンポジュウムでよく討
議していただきたい。「取れるものも取らないで、足りない足りないと言うだけではダメである」改訂の趣旨
に沿った積極的な対応をお願いしたい。また本日さしあげた総会資料の間にはさんだ冊子は有診協ニュス
23号の別冊“ここまで取れる新点数”で、知恵をしぼって多方面にわたって研究して作ったものである。会
員の皆様はよく読んで取りこぼしのないようにしていただきたい。
自分の診療施設をどのように生かして行くか頭の切り替えをすべき時である。
来賓挨拶(要旨)
日本医師会会長 坪 井 栄 孝
昨日から引き続き非常に活気にあふれた総会に出席させていただき、まずはお祝い申しあげます。この
総会はもう9回にもなるとのことで、なみなみならぬご努力と清成会長の強力なリーダーシップの賜であり
ます。
また清成先生には日医に多くの御提言をいただいているところでもあります。
ところで皆様は日医の対応は何となくトロいのではないかと思われているかも知れないが、今ではかなり
積極的に皆様の提言を取り入れているつもりであります。今後も先生方の意とするところを汲み上げ対応
して行きたく、御指導をお願いしたいと思います。
やがて目前に迫った老齢化社会に日医はどう立ち向かうのか、世界一の医療をもちながら国民は今一つ
必ずしも満足していないかに見受けられます。それに対しいかに対応するかは我々の責務であり、より開
かれた情報を提供し、無床、有床、病院の各々の機能を発揮できるようにして、理にかなった医療をつくる
のであります。
その中で有床診療所は何を提供し、どうあるべきか。有診の医療は我々の医療の原点であり安心できる
大切なものであることはわかっています。これをいかに現在または将来のシステムの中に生かして行くか
を真剣に考えて行くべきであります。有診のもつ機能の一つ急性期の治療にも力を発揮していただきたい
。国民の信頼を得るもとであるし、ひいては日医のためにもなるのです。本日までのご苦労に深い敬意をは
らいお祝いとさせていただきます。
要 望 書
全国有床診療所連絡協議会設立10周年記念総会にあたり「白いキャンパスにわれわれ自身の手
で、日本の医療に最も適した理想像を描こう」という日本医師会積年のスローガン実現のため、われ
われは、日本医師会が、小規模入院施設検討委員会答申を1日も早く導入し、地域医療における現
時点での有床診療所の役割の評価と地位の確立に向かって努力されることを要望する。
全国有床診療所連絡協議会
会長 清 成 正 智 平成8年7月21日
日 本 医 師 会
会長 坪 井 栄 孝 殿
講演
地域で期待される有床診療所の役割(要旨) 日本大学医学部教授 大 道 久
つい先般、医療審議会から次期医療法改正案要綱が発表された。現在の時点では改正の手順や日程
がどうなるかなどがまだ不明確であるが、急な展開で大きい改革が起きるのではないだろうか。
改正案では有床診療所に療養型の病床を認めることが明記されていることはまことに重要である。
医療法13条、いわゆる入院の48時間制限条項があるゆえに診療報酬が低い設定になって来たわけで
ある。それに対する有床診療所連絡協議会の運動は重要な意義をもってきたと思う。今後この48時間問
題と長期療養型の病床をいかに整合させて行くのか大変興味のあるところである。医師数、看護婦数をど
のようにするのか、厚生省の考えもあるだろうし、日医はこの会の意向も聞いてみなくてはなるまい。療養
型の病床は地域医療計画の病床数に算定することが明確に書き込まれている。ということは一般の従来
病床は算定せず、13条は継続と読み取れる。療養型に転換する場合の人員、床面積の問題などは現場
からの声をしっかり発してもらわなければならない。
今や小さい規模の病院が見直される方向にある。大きい利点もあるが、大きいがゆえの弊害もある。高
齢者を扱う場合は小さいことと近いことが重要である。介護保険について述べると、在宅医療のバックアッ
プ、特に在宅の独居老人の場合、規模の小さいことの意義が見直されているのだ。
診療所に導入される療養型病床はまぎれもなく介護保険給付の対象となるだろう。
発言
有床診療所と療養型病床群(要旨) 日本医師会常任理事 宮坂 雄平
有診の療養型病床群に対する病床規制の問題については(病床規制の対象とすると)オーバーベッド地
域では有診に療養型病床群を作ることが不可能になってしまう。これに対しては厚生省とよく相談し、療養
型病床群を作れるように、病床数のカウントから外すよう働きかけていきたい。
討議と対策
主題 「有床診療所は知恵をふり絞って生き抜こう」
座長 福岡県有床診療所協議会副会長 安部 龍夫
座長:一昨年度の診療報酬改定に引き続き、本年4月にまた点数の改訂が行われました。その結果点数
の引き上げられた分もありますが、反面相次ぐ薬価の引き下げの結果苦戦を強いられているところもある
やに聞きます。
一方医療制度の変更は急には望めそうにもなく、いきおい現在の診療報酬体系のもとでいかにして生き
抜いていこうかということに知恵を絞らねばなりません。ここに登場していただく演者はそれぞれの道の達
人であります。まずはその話を聞いて討論を行い、今後の皆様のお役に立てたいということでこのディスカ
ッションを企画しました。
専門医療と新点数について
全国有床診療所連絡協議会理事 大岩 俊夫
有床診療所には専門医療を行うためにベッドをもって開業している人が多い。しかし昨今では専門医療に
徹することは困難な時代になりつつある。
外科関係でいうと、たび重なる点数改訂で手術点数はかなり高額になっているので有床診療所でも手術
を行うことは大変メリットがある。しかしそれを行うにはクリアーしなければならない様々な問題がある。
反面終末医療や潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、急性肝炎などの保存的治療を行うと有診では入院時医学管理
料、看護料等により、著しく低い点数となり、経営を悪くするのが実情である。従ってこのような専門領域の
患者でも老人であれば、診療所老人医療管理料(いわゆるショートステイ)の病床を用意しておいて、そこ
に入ってもらう方がよい。ただ病床をもち専門領域の治療をきちんとすることが、外来診療にも好結果をも
たらすことを考えるべきである。
老人デイケアを行って
福岡県有床診療所協議会理事 重藤 紘
設立に際しての一番の難点は有資格者即ち理学療法士、作業療法士または経験のある看護婦の確保と
設立認可までの実績期間の問題である。しかし今では以前ほど困難なことではなくなりつつある。 開設後
も解決しなければならない思わぬ多くの問題点がある。それと常に新しい患者を確保しなくては次第に減
少してくる。
主にショートステイをめぐって
全国有床診療所連絡協議会副会長 草 刈 兵 一 郎
診療所老人医療管理料が平成6年9月に新設されたが未だ利用率は低い、その原因としては
1)施設基準が厳しすぎること、一人当たり6.4uが必要 食堂及び浴室が必要なこと。
2)診療所老人医療管理料(J)14日までは1090点でよいとしても(K)すなわち15日以降は
655点でいささか安すぎる。
3)患者負担による付き添いをつけてはならないことになっているので本格的にショートステイを取り入れ
るには看護補助者の増員が必要である。
などがあげられる。しかし公的介護保険の発足に当たり、今すぐ老人を受け入れられる所を確保するには
有床診のベットが一番よく、ショートステイが手っ取り早い、そのためには1床あたりのu数は取り敢えず
5.4uとすること、(K)を800点くらいまでアップする必要がある。
在宅医療をめぐって
松山市医師会理事 上田 英憲
我々の検討では訪問診療を行う場合は寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)を届け出て処方箋を交付
する場合が最も収益率が良い。
そのうえ有床診療所は必ず当直者が常時いるわけだから他の医師と連携をとって連携体制加算を算定
すべきである。
総括
日本医師会副会長 糸 氏 英 吉
私も15年間有床診療所の外科医をやって皆様のご苦労はよくわかっている。有床診療所の医療は手作
りの医療である。また有床診療所は自由開業医制の最後の砦である。日医は体を張ってでも守らねばなら
ないと考えている。
大岩先生へ
専門医制をかかげて開業しているところでは是非医師の複数制をとってもらいたい。若い力を入れなくて
はならないこともあるだろうし、新しい知恵を借りなくてはならないこともあるだろう。近頃では医事紛争は高
額になっているのだ。
重藤先生へ
老人デイケアは高点数だから是非していただきたい。特に規制を緩和して参入をしやすくするように考え
たい。
介護保険では先ず在宅にしようということになっているので在宅デイケアは間違いなく介護保険適応の第
一号となるだろう。
草刈先生へ
ショートステイとは、ミニ老健施設ということから発せられた言葉である。ショートステイの規制を少し軽くす
る。15日目からは80%くらいにしてもらいたい。または(T)を1ヶ月くらいにできないか。これができると療
養型病床になることは影がうすくなり、有診の使い方にハズミがつくし、その方がよいのではないかと思う。
一番望ましい老人ケアーの方法である。
上田先生へ
在宅医療についてであるが、在総診と24時間連携がよいと思う。あまりお役に立っていないが、地方の
先生にももっとメリットをPRして欲しい。皆様のご要望をきっちりと伝えて対応するつもりである。