全国有床診療所連絡協議会ニュース

有診協ニュース第29号

平成10年8月発行

第11回全国有床診療所連絡協議会総会が開催される

 

 去る平成10年8月8日、9日の両日にわたり、神奈川県有床診療所協議会の担当により、横浜ロイヤルパークホテルニッコーで第11回総会が開催された。8日には午後3時から常任理事会、4時から役員会が行われ、午後5時30分からは坪井日医会長、田中神奈川県医会長、神奈川県知事、横浜市長を迎え、全員懇親会が開催された。

 また9日は午前9時から総会議事に引き続き、日本医師会長 坪井栄孝先生の「老後に心配のない国づくりのために」の特別講演、厚生省健康政索局長 小林秀資先生による「医療制度の課題」の講演が行われ、午後はパネルディスカッションに引き続き日本医師会常任理事 宮坂雄平先生の発言、日本医師会副会長 糸氏秀吉先生の講演が行なわれた。

 今回の総会は昨年12月医療法の改正が行われ、本年4月より有床診療所にも療養型病床群の設置が認められ、全国で転換申請受付けが始まろうとする時期に当たったこと、さらに加えて、全国的な情報不足に対して小林健政局長の講演、宮坂日医常任理事、糸氏日医副会長の講演がちょうどそれに応えるものであったことなどもあって、500名を超える参会者での熱気にあふれた総会となった。

 当協議会と日医の検討委員会委員諸氏の精力的な努力で、平成6年3月小規模入院施設検討委員会の立派な答申がまとまったにもかかわらず、その後実現される気配もなく過ぎていたが、大きく形を変えたとは言え、その精神が生かされて、ようやく48時間規定のシバリのない病床が実現する事になったのである。総会が熱気に溢れたのも当然である。

 今後当協議会では、可能な限り早く全国の情報を集めて全会員にお知らせし、希望する会員が満足に転換ができるように出来るだけのお手伝いをする所存である。

 それにしても、今まであれほど精力的にこの会と我々会員のために働いてくださった清成正智前会長が、第3次医療法改正をかち取ったあと、まもなく急逝されたことはかえすがえすも残念と言う他はない。

 然し、清成会長の後任として8日の役員会及び9日の総会で、神奈川県有床診療所協議会会長、内藤哲夫氏が全国有床診療所連絡協議会会長として全会一致で選出された。新会長が、その挨拶の中で故清成正智前会長の遺志を継いで、専門性を生かした急性期医療にも、療養型病床群を中心とした慢性期医療にも、強力に対応していくと方針を述べられたことは大変心強いことであった。

 来年度は愛媛県有床診療所協議会の主催により、平成11年8月7日・8日の両日、松山市の於いて村上郁夫会長のもとで、第12回総会が開催されることが決定された。

 

 

挨  拶(要旨)

 

第11回全国有床診療所連絡協議会総会会長 

内 藤 哲 夫

 

 第11回全国有床診療所連絡協議会総会が、この横浜の地で開催されるに当たり、全国各地から多くの先生方のご参加を得て、盛大に行われることを心より嬉しく歓迎申し上げる。

 特に、日本医師会からは坪井会長、糸氏副会長、宮坂常任理事、厚生省からの小林秀資健康政索局長はじめ多数の御臨席を賜り有難く感謝申し上げる。

 顧みるに昭和63年2月、この横浜の県医師会館で全国有床診療所連絡協議会の創立総会を行い、福岡と横浜の有診協議会が共同主催者となって各方面のご来賓の出席もいただき、会員245名でスターとしたわけである。そして本年2月15日急逝された故清成会長の下、一致団結して10年間、この会の運営は勿論、会員の増強と拡大とに努めて来た。お陰さまで現在25の県と市に協議会が設立され、全国会員は4,300名を超えた。改めて、故清成会長に深甚なる敬意と謝意を捧げたい。

 有床診療所は、まさに日本固有の医療単位であり、また日本の医療文化である。地域に密着した「かかりつけ医」として、小廻りのきく医療機関として、急性期医療、慢性期医療を問わず収容出来る施設なのである。

 しかし、入院料等の診療報酬が余りにも低く抑えられている為に、経営不振を余儀なくされているのが現状で、全国に約25万ベッドあったものが現在20万ベッドを割込み、「スリーピングベッド」となっている所もかなり多くなって来ている。地域の人々の「かかりつけ医」として、有床診療所の役割がいつまでも持続出来るように我々は努力しなければならない。

 今年4月1日より医療法が改正され、有床診療所が療養型病床群に転換することができるようになった。これは高齢化社会に対応する有床診療所の姿でもある。しかしまた、急性期医療で救急医療に対応している有床診療所の献身的努力も決して見逃すことができないもので、診療報酬上で大いに評価されるべきであり、これに対する施策も考えなければならないと思う。

 この会が実りある会となることを祈念して挨拶とする。

 

 

祝  辞(要旨)

 

日本医師会会長 坪 井 栄 孝

 第11回全国有床診療所連絡協議会に出席させていただき、日本医師会を代表して一言お祝いを申し上げる。

 多くの先輩型が、情熱を傾けてかち取った有床診療所の今日の地位は、何物にも変え難い貴重なものである。また、先日有床診療所の療養型病床群への転換が認められ、全国でその問題に取り組んでいるのは、有難いことである。まだ充分に固まった制度ではないことを危惧している。皆様方が今後やり易いものであるように、推進して行きたいと思っている。

 有床診療所の進む道については、将来は病院とは違うことを明確にしてアピールして行く必要があるだろう。今やアメリカから色々横文字の制度が日本にもどんどん入って来ていることには、大変警戒しなくてはならない。国民のニーズがどこにあるかを、ピックアップしなくてはならない。その上で何が必要な制度なのかを見極めねばならない。先日アメリカの医師会と議会を見て来た。いい所もあるが、アメリカの悩んでいることは何かを知っておかねばならない。国民のための医療は、我々が支えていくのだということをここに誓う。

 本日は、都道府県の医師会長もたくさん来られている。今後益々この協議会が栄えることを祈念して、お祝い申し上げる。

 

 

特 別 講 演

「老後に心配のない国づくりのために」(要旨)

 

日本医師会会長 坪 井 栄 孝

 最近のように、不況で国民が経済に不安を持っている時だからこそ、医療の上で安心を与える必要があるのだ。従来からの我々の医療構造改革構想は、決して小手先の財政改革や、我田に水を引くことだけを考えているのではない。

 厚生省の改革案は、医療費増大に対する歯止めをかけるために高齢者保険制度を考えているものであるが、日本医師会の医療構造改革構想は、厚生省の改革案とは似て非なるものである。厚生省は医療費支出の抑制のために、自己負担の増額、薬剤給付の見直しなどを行ったものであり、昨年9月の改正により1超200億円の金が浮いたと言うのだが、はたしてそれでよかったのだろうか。

 最近小渕新首相と接見したが、総理の考えている財政法凍結、財政立直しと日医の医療構造改革構想とは矛盾しないということを申し述べた。我々の医療構造改革構想を採り入れて、老人医療を75才からとして65才以上の就労環境を整備したら2000年にはGDPが25兆円伸び、税収が2兆7400億円増えるだろう。更に薬剤費の10%引き下げ、特定医療材料費の40%引き下げにより1兆3000億円の捻出を行い、これをすべて医療費に還元すると合計4兆400億円の財政効果を発揮することになる。公共投資に金をまわすよりも、医療費に回す方がずっと景気のための財政効果があるのだ。それらにより国民皆保険制度を維持し、良質で適切な医療をめざすことができるようになるのであり、社会保障への財政投入は、景気対策にも有効であるとすべきである。

 

 

講  演

「医療制度の課題」(要旨)

 

厚生省健康政索局長 小 林 秀 資

 清成先生は本当によく有床診療所のことを考えておられ、お教えを受けて私もかつて厚生省の中に有床診療所を考える会を作ったことがある。

 他の省庁と同じく厚生省は予算に縛られているので単年度ごとの考えとなり、長期的な展望がないではないかというお叱りをよく受ける。しかし厚生省は国民皆保険制度の維持、良質で適正な医療の拡大など、先程お聞きした日医と考えは全く同じである。

 与党医療保険制度改革協議会の出した「医療制度の課題」を叩き台として、今後出て来る医療提供体制の抜本的改革についての具体的検討課題の主なものを述べてみる。

 

  1. フリーアクセス : 好む所で医療を受ける自由  情報の公開も必要となる
  2. 説明と同意を義務規定とする : しかしプライバシーには配慮し、本人にだけはカルテ等の診療情報を公開
  3. 療養環境の改善 : 必要病床数は今後慢性期と急性期とに区別して設定するが、これまでの病床規則との整合性が大きな問題となる
  4. 病院の機能評価事業
  5. 大病院への外来患者集中に対する対策

   などを考えている。
 また、有床診療所の療養型病床群への転換については

  1. 転換した療養型病床群の施設が必ず介護保険適用(介護療養型医療施設)になるとは限らない。
  2. 介護保険制度が立ち上がった後も、医療保険での療養型病床群は残るため、介護療養型医療施設になることだけが唯一の選択肢ではない。
  3. 整備計画数が満員になれば、従来通り医療型の療養型病床群に止まる。一方、介護保険の指定を受けると要介護者しか受け入れることができないが、従来の医療型は介護を必要としない慢性患者を入れることができる。
  4. 介護療養型施設に慢性患者を入れた場合、医療保険からも介護保険からもお金は出ない。はっきり決まってはいないが、無料サービスでお願いする事になるだろうと考えている。

      と述べた。      

 

パネルディスカッション

 

座長:全国有床診療所連絡協議会常任理事 美 川 隆 造

全国有床診療所連絡協議会常任理事 犬 尾 博 治

 

   T 神奈川県下有床診療所の実状について

 

 1. 神奈川県の有床診療所アンケート調査報告

神奈川県有床診療所協議会専務理事   

耳鼻咽喉科田中医院院長 田 中 博 之

 神奈川県下の有床診療所748施設につきアンケートをとり388施設から回答が得られた。神奈川県の施設数は対人口比で全国レベルの約半分しかなかったし、届出病床は9床未満の所が多い。施設は単科専門的な所が多い。療養型病床群への転換希望するものが多いが、中にはしないと回答したところもあり、その理由としては看護婦などの人材の確保が困難、建築構造上改造が困難などがあげられ市街地と郡部とでも違いがみられた。

 

  2.外科有床診療所として急性期医療の救急対応について

神奈川県有床診療所協議会会長   

内藤外科胃腸科医院院長 内 藤 哲 夫

 急性期医療に対応する外科系有床診療所のうち救急告示を行っているところが22あり、それを調査したが経営不振のため救急告示を続けることが難しくなっている所が出てきている。大病院指向が出てきて救急車の来る数が少なくなったり、手術件数が減ってきたりしているのだ。そのため経営が苦しくなっている。それでもなお症例によっては、大病院よりも早くうまく直せるものがあり、入院費の安さに苦しみながらも、診診連携したりして苦労してやっているのだ。

 

  3.横浜市産婦人科有床診療所の現状と将来について

神奈川県有床診療所協議会理事   

鶴ヶ峰中央医院院長 小 松 英 夫

 神奈川県では産婦人科は非常に苦境に立っている。分娩数の減少と土地代の高騰などで特に都市型で分娩取り扱いを中止した施設が増えた。

 

  4.神奈川県下眼科有床診療所の現状について

神奈川県有床診療所協議会理事   

上岡眼科医院院長 上 岡 輝 方

 眼科開業医を重装備でやるには、設備に2億円かかる。実際にはビル開業でやるケースが多い。主として白内障、緑内障手術までというのが多い。眼科有診の将来は悲観的である。

 

  5.脳神経外科救急有床診療所における専門医療の現状

神奈川県有床診療所協議会理事   

島脳神経外科整形外科医院院長 島  利 夫

 神奈川県18の脳神経外科の有床診療所があるがそのうち現在9施設が救急告示をしている。ベッド稼働率は77%だが病院に比べて診療報酬が非常に安いことが問題である。

 

    U診療所療養型病床群への転換について

 

  1.内科系の立場から

神奈川県有床診療所協議会副会長   

小笹医院院長 小 笹 慶 資

 有床診療所に療養型病床群への転換を認められたことは、特に内科系有診に明るい展望が開けて来た。

 我国の老人対策は常に医療と福祉を対立させて来たため、医療は介護に乏しく、福祉は医療に薄いという欠陥に晒されてきた。日本独特の最も効率よくやれる有床診療所に療養型病床群を病床カウントの規制なく転換させ、介護保険の中でも自由な競争を許せば、老人の福祉にも著しく貢献するだろう。

 

   2.外科系の立場から

神奈川県有床診療所協議会理事   

葉梨整形外科院長 葉 梨 之 紀

 外科の有床診療所を療養型病床群に転換する場合、一部を一般病床として残せば急性期の疾患にも対応出来るし経営が安定する。その場合、介護型にする必要はなく医療保険型にしておけば医療で治療が長引くような患者にも対応できて、自らの専門も生かせる。 デメリットは病床面積はいずれ完全型にしなくてはならず、土地スペースの狭い所ではベッド数を減らさなくてはならない。

 

 

討  論

岩手県 石川会長

 岩手県では以前から県当局と緊密な連絡を取り合っており、6月の医療審議会で決定した。即ち有床診療所のベッド940床の494床が転換希望であったので、これをまず優先して決定した。これについては病院側からクレームがついたが、残っているものが充分あるのだからということで了承してもらった。

宮坂常任理事

 岩手県であのように有診優先で決められ、これが全国的に波及しそうであるので非常に心強い。

質問

 療養型病床群の医療型でやって行きたいと考えているのだが、報酬の上で劣るだろううか。

宮坂常任理事

 報酬の上でどちらかが有利ということはない。療養型病床群の医療とはどういうものかは決まっていないが、恐らく今のまるめのT群、U群と同じと思う。

岩手県 石川会長

 療養型病床群は15床作ったが、10床しかうまらないということはあり得る。その場合5床は今までの有診通りであるが48時間規制は受ける。

 病室改造などに対する補助金の1床当たり300万円というのは、最高が300万円ということであって厳しくチェックされる。

 病床過剰地域で補助金を受ければ、必ず10%病床をカットされる。

 

 

有床診療所の療養型病床群への転換についての質疑に答えて

 

日本医師会常任理事 宮 坂 雄 平

 昨年12月医療法の改正により、有床診療所への療養型病所群設置が認められるようになった。

 

1.設置基準については、病院も有床診療所も人員配置、病室の基準等は同じである。ただし、有床診療所の病床は地域医療計画のベッドには入っていなかった。そこで、病床過剰地域でも転換ができるように、特例病床ということにして造ることができるようにしたのであって、療養型病床群の整備目標については、各都道府県医療審議会で決めてもらうことになっている。

 2.療養型病床群になっても、介護保険となると、かく市町村自治体の事情によることになるから、療養型病床群イコール介護保険型とはならない。恐らく2年後介護保険が行われるようになると、手あげ方式で介護を好むか医療を好むかは、医師の判断によって決められることになるであろう。ただ介護と決めたときには、ほかの医療はできないことになっているが、ケアミックスとしてできるようにしたいと考えている。

 3.一度特例で療養型病床群として認められたものは、2年後もおそらくずっと認められるだろう。

 ただし、病床過剰地域では完全型にしなくてはならない。

 4.診療報酬についてはまだ決まっていないが、各市町村自治体の事情によることもあるとは思われるが、同じようなサービスをすれば医療の方でも介護の方でも同じものにしたいと思っている。

 

 

講  演

「医療法改正と有床診療所」(要旨)

 

日本医師会副会長 糸 氏 英 吉

 有床診療所の療養型病所群への転換について、個人的には「有床診療所から転換を希望しているものに対しては、要件を満たしていればすべて転換させ、その後で競争をさせるのがいいのではないか、規制緩和と言いながら診療所にまで病床数の規制をもち出すことは好ましいことではない」と思うと述べた。

 また、診療所は病院に比べて診療報酬評価が低いことを指摘し、「診療所の医師は、患者から本当のかかりつけ医と称されている存在であって、今後これを育てていくにはそれに見合う診療報酬が必要である。病院との格差を打ち破る施策として、療養型病床群への対応はひとつの試金石になる」との考えを明らかにした。また患者の大病院指向に歯止めをかけるには、診療所の方がいいと思われるような特色を出して、アピールしていくことが必要だと述べた。

 

 岩手県での有床診療所からの療養型病床群への転換のいきさつについて、第11回全国有床診療所協議会総会で次のような追加発言が行われた。

 岩手県との打ち合わせ会議事録をそえ掲載してみる。

 

 

「第11回全国有床診療所連絡協議会総会」

パネルディスカッション追加発言

 

〔H.10.8.9(日)横浜市〕

岩手県医師会常任理事 田 郷 敏 昭

 岩手県は療養型病床群の整備目標を3,010床と設定し、7月7日の岩手県報で公示しました。これを機に多くの方々からお問合わせがありましたので、本日追加発言をさせていただきます。

 岩手県医師会は、以前から県行政と良好な関係を維持し、定期の懇談会を持っております。本会石川会長の言によれば「濃密な関係」となりますが、医療の諸問題について常に意見交換をして参りました。

 療養型病床群につきましても、「住み慣れた地域において、かかりつけ医の管理のもとで療養することが患者にとっても望ましい」という基本的な考えをアピールし続けて参りました。その結果、有床診療所を最優先とし、民間病院、小規模の市町村立病院の順で整備することが6月15日の岩手県医療審議会で決定されました。

 岩手県医師会は、4月に診療所部会会員626名を対象にアンケート調査を行いました。転換を検討中の有床診療所54施設の病床の総合計941床のうち494床が転換可能という結果を得ております。岩手県の既存療養型病床群は4病院の587床であり、将来転換が必至と思われる介護力強化病床は363床、これに先程の494床を合算しますと、1,444床となります。整備目標3,010床とは大きな開きがあり、余裕があるという反面、休んでいるベッドを再活用するとしても有床診のみでは目標を達成できるかなという懸念もあります。

 一方転換を希望しないと答えた会員も多くありましたが、その理由の主なものは、自分自身が高齢であること、施設基準の問題、マンパワーの問題、経営上の先行が不透明であること等でした。

 このアンケートの結果は県の参考資料としてとりあげられ、療養型病床群への補助金に係る県の6月補正予算計上の根拠となっております。

 次に岩手県医師会に寄せられた質問の主なものをご紹介します。

  @どうしてこんなに早く公示できたのか。

   岩手県医師会にはいささかの政治力があると自負しております。良質かつ控えめのプレッシャーはあったかも知れませんが、決して横車は押しておりません。常日頃の良好な関係の賜物と考えております。

  Aどのようにして3,010床もの数を確保できたのか。

   岩手県においては幸か不幸か既存の療養型病床群は587床と少なく、食べ残したパイが十分あるということであります。また、特別養護老人ホームのベッドが不足していることも要因となりました。

  B療養所最優先という決定に対して、病院群からクレームはなかったか。

   当初は勿論小さい声のクレームがありました。しかし、有床診のみでは食べ尽くせない程のパイが残っているとの説明で納得して頂きました。

 

 

岩手県医師会と岩手県との打合会議事録より抜粋

(10年5月22日(金)開催)

田郷常任理事 医療法改正に伴う療養型病床群及び地域医療支援病院について申し上げます。

医療法の改正に伴い、療養型病床群と地域医療支援病院の整備が目前に迫ってまいりました。岩手県医師会は、診療所の会員に対しまして、これらの問題に関するアンケート調査を行いましたところ、別添の資料のような結果を得ましたので、県当局にご披露を申し上げますとともに、お考えを伺いたいと存じます。

 まず、療養型病床群についてでございますが、アンケートによりますと、療養型病床群導入を希望する診療所は県下で54施設でございます。これらの施設が有する病床数は合計で941床であり、このうち494床が療養型病床群へ転換可能でございます。療養型病床群の整備目標数は地域医療計画部会で決定されるものと存じますが、できるだけ早い時期にお示しいただきたいと存じます。また、ご承知のとおり、有床診療所の経営悪化によって年々空床化が進んでおります。この事実は将来の地域医療並びに福祉のためにも見過ごせない事実と存じます。療養型病床群の許認可に当たりましては、有床診療所を優先するとのお考えのようでございますが、大いに期待しております。

 次に、地域医療支援病院についてでございますが、アンケートの結果からは65.8%の会員が、県立病院が最も地域支援病院としてふさわしいという意見を持っております。医療局はこの整備に関しましてどのようなお考えをお持ちでしょうか。ご意見をお聞かせいただきたいと存じます。

 以上、2点につきまして地域の特殊性をお考えの上で、大局的な立場からご指導をお願いしたいと存じます。以上でございます。

鷹觜常任理事 それでは、岩手県からのご回答をいただきたいと思います。千葉保健福祉課長さん、よろしくお願いいたします。

千葉県保健福祉課長 それでは、療養型病床群の整備目標数及び公示の時期のお話でございますが、これはご指摘のとおり、医療審議会において決定される事項でございますが、基本的には国の考え方に基づきまして、介護を要する高齢者の状況でありますとか、あるいは特別養護老人ホーム、老人保険施設等の施設の設置状況等も考慮しながら決定いたしたいというふうに考えておりますし、その時期については、早期に療養型病床群の整備を推進していくという観点から、夏の早い時期に公示をしたいというふうに努力したいと思っております。

また、もう一つの病院と診療所との関連でございますが、これも医療議会の中でご議論いただくということになっておりますが、住みなれた地域においてかかりつけ医の先生の管理のもとで療養を行うということが最も望ましいのではなかろうかなというような観点から、有床診療所の転換による整備を病院への整備に優先して進めたいというふうに考えておりますし、民間医療機関または小規模の市長村立病院への設備を原則としたいというふうに考えているところでございます。

 

 岩手県での有診よりの療養型病床群転換成功の背景について、

 1.岩手県には有床診療所協議会の組織があり、その会長に岩手県医師会長石川育成先生がなっておられ、その強力な指導体制下にあった。

 2.岩手県にも病床過剰地域が9医療圏のうち6医療圏もあり、その点では他の都道府県とも大差はないが特別養護老人ホームのベッドがやや少ないという要因があった。

 然し、なんといっても岩手県医療審議会会長石川有床診療所協議会会長の「岩手県内には国公立病院が多いが、患者にとっては住み慣れた地でかかりつけ医のもとで療養する方が望ましい。そのためには療養型の整備は、有床診療所を先に進めるべきだ。」との強力発言でまとまったのである。

 有床診療所協議会のない地方では誰が交渉に当たるのか、大変な困難が予想される。たとえ転換受付けが始まっても、県とは個人で折衝にあたらねばなるまい。

 そこで一つの方法として提案したいのは、県医師会の理事などの中から有床診療所を開設されていて活発に活動してくれそうな方を選んで県や医療審議会との折衝に当たってもらい、早急に県下の有床診療所にアンケートをとってどのくらいのベッドが、どのような地区(例えば中学校校区)で転換を希望しているかを把握して、県と折衝すること。各地での転換の情報は当連絡協議会が把握しているのでそうした成功例の情報を見せながら折衝に当たること。

 行く行くは介護保険が立ち上がってくるので、そのような事態にそなえて、県で有床診療所協議会を結成すること。そうすれば各地の情報や、厚生省、日医の方針や考え方も入手しやすいことをお考えになっていただきたい。

総会で採択された。日医会長に対する今総会の要望書は以下の通りである。

 

日本医師会

   会長  坪井栄孝  殿

平成10年8月9日      

全国有床診療所連絡協議会   

会 長  内 藤 哲 夫

 

要望書

 

 1.日医「小規模入院施設検討委員会報告書」を基軸として、その制度化の早期実現を期すこと。

 2.第三次医療法改正において、日医の「小規模入院施設検討委員会報告書」の趣旨が尊重され、診療所療養型病床群の設置が認められたことを高く評価する。

診療所の療養型病床群は、在宅医療の延長として身近な場所で、患者が療養生活を送ることができる要介護者の療養施設として重要であり、その整備に当たっては、円滑な転換が行われるよう格段の配慮と支援とを要望する。

 3.有床診療所における入院料依然として低く、急性期を含む一般患者入院料の大幅な引き上げを要望する。

 4.病院における看護補助料と同様に、有床診療所についても看護補助者の評価を行うこと。

 5.中小の医療機関において、適正な地域医療を支えてきた准看護婦制度を堅持すること。

 6.有床診療所は常時、主治医が対応できる収容施設である。これは「かかりつけ医」機能と同時に、「在宅医療」支援機能を併存した、日本独自の医療制度である。これを評価して、有床診療所に対する「入院時かかりつけ医管理料」を新設されたい。

 

 

平成10年度第1回全国有床診療所連絡協議会役員会

 

 平成10年8月8日、横浜ロイヤルパークホテルニッコーで役員会が行われた。議事の主たるものを収録する。

 昨年総会以降地方で有床診療所協議会の設立されたところは

平成10年2月5日  千葉市医師会有床診療所協議会設立会員数  21名
平成10年5月16日  大分県有床診療所協議会設立会員数  130名  
平成10年7月8日  群馬県有床診療所協議会設立会員数  117名   

 あと4箇所で設立されたそうである。東京都、広島県、神戸市、名古屋市である。

 それぞれから代表者を役員会のオブザーバーとして招いた。

 また、本年2月15日逝去された前会長故清成正智先生の後任として神奈川県有床診療所協議会会長 内藤哲夫先生を満場一致で選出した。

 更に、新役員として

常任理事  田那村 宏(千葉県)
 〃  安部 龍夫(福岡県)
広報担当理事  大岩 俊夫(福岡県)
理 事  生方 (群馬県)
田邊 惠造(静岡県)
實藤 政理(長野県)
時枝 政昭(大分県)

が選任された。