「有床診療所病床機能調査事業」報告書
日本公衆衛生協会 平成8年度地域保健推進事業
平成9年3月 神奈川県衛生部
調査の概要
1. 調査目的
医療計画においては、地域住民が日常生活圏域内で必要な医療を受けられる体制を整備するために、「医療圏」を
設定し、医療圏ごとの「必要病床数」を算定して、地域における医療機能の適正配置を推進してきた。少子化と高齢
化の平均余命の延長は、高齢化の進展より一層加速してきており、これに伴い、地域における医療ニーズも大きく変
化していくことが予想される。また、疾病構造が慢性疾患中心へと変化してきたことにより、健康づくりや予防などの
保健サービスがより重要になるとともに、医療サービスだけでなく生活支援サービスも併せて提供されることが必要
になってきており、保健・医療・福祉の連携システムを確立することが急務の課題となっている。このように、地域の
医療ニーズは大きく変化してきており、これらの医療ニーズに適切に対応できる医療供給体制の整備を図ることが、
医療計画にも求められてくる。また、第3次医療法改正案においては、1)療養型病床群制度の診療所への拡大2)
医療計画の必要的記載事項の充実@地域医療支援病院の整備の目標A療養型病床群の整備の目標等3)医療法
人の行い得る業務に老人居宅介護等事業その他の在宅福祉事業を付加など、医療計画に大きな影響のある改正が
予定されている。特に、診療所が設置する療養型病床群については、都道府県知事の許可を受けるだけでなく、病院
の一般病床と合わせて医療計画の必要病床数に算定されることになっている。このような状況から医療計画の策定に
際して、有床診療所の実態を把握することが必要となってきている。 本調査は、神奈川県における有床診療所の
設備や人員等の施設機能、及び医療施設間の連携や在宅医療への取り組み等の医療機能の実態を明らかにし、
二次医療圏単位の地区保健医療計画の策定、及び今後の医療機能整備の方向性等を検討するための基礎資料と
することを目的とするものである。
2. 調査内容及び方法
1) 調査対象 神奈川県内の有床診療所760施設
2) 調査方法 質問紙調査を郵送により配布・回収
3)調査項目
@ 施設の概要 所在地、開設年度、管理者の年齢、開設者、主たる診療科目、従事者数、届出病床数及び稼働
病床数、併設施設
A診療機能の実態 施設の機能、得意とする特殊外来診療、救急医療の実施状況、医薬分業の実施状況、診療
所老人医療管理の採用状況、日常の診療以外の保健医療活動
B患者数の実態 1ヶ月間の外来患者数、入院患者数、居住地域別入院患者数、65歳以上入院患者の入院
期間、65歳以上入院患者の居住地域、65歳以上の入院患者の日常生活自立度及び痴呆の程度
C医療施設間連携の現状 患者紹介の実施状況、紹介先医療施設との関係
D在宅医療・在宅ケアへの取り組み状況 訪問診療の実施状況、訪問看護の実施状況、訪問リハビリテーション
の実施状況、在宅ターミナル・ケアへの取り組み状況
E施設の将来構想 今後の病床整備への意向、療養型病床群への転換意向、高齢者などに配慮した施設の整備
状況と今後の整備意向、医業承継の見通し
3.調査実施時期 平成9年3月
4.調査票回収状況 調査対象施設数 760施設
無床・廃業施設数 12施設
有効対象数 748施設
調査票回収数 388施設
回収率 51.9%
調査結果
1.調査概要
1) 施設所在地
二次医療圏別の回収状況は、横須賀・三浦(91.5%)、湘南東部(72.9%)、県北(60.5%)で高く、川崎
北部(27.3%)で低かった。
2)開設年度
施設の開設年度をみると、「昭和39年以前」が23.7%と最も多く次いで「昭和40〜44年」17.0%、「昭和
45〜49年」16.5%であり、昭和55年以降ではそれぞれ5年間ごとに7%づつ であった。二次医療圏別に
みると、「昭和39年以前」開設した有床診療所は「川崎南部」45.8%、「川崎北部」33.3%と多く、逆に、
「県北」11.5%、「 県央」12.8%「県西」13.0%と少なかった。
3)管理者の年齢
管理者の年齢階級をみると、「60歳代」43.8%が最も多く、次いで「70歳代」25.8%、「50歳代」16.5%、
「40 歳代」11.6%の順であり、60歳以上の割合は約7割を占めている。
4)開設者
開設者をみると、「個人」74.5%が最も多く、次いで、「医療法人」20.1%、「その他」5.4%であった。
5)主たる診療科目
有床診療所の主たる診療科目をみると、「産婦人科」41.8%が最も多く、次いで「内科」26.3%「外科」18.
3%「整形外科」10.3%であった。なお、「その他」の回答としては、胃腸科、脳神経外科、精神科などがあ
げられていた。 また、以下の分析においては、診療科目を「内科・小児科・その他の内科系」103施設
(26.5%)「外科・整形外科・ その他の外科系」104施設(26.8%)「眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科」33施設
(8.5%)、「産婦人科」162施設(41.8%)、「その他」14施設(3.6%)に区分して集計した。
6)従事者数
従事者についてみると、1施設あたりの平均従事者数は常勤は8.2人、非常勤は6.3人であった。
7)届出病床数と稼働病床数
届出病床数をみると、「5〜9床」39.2%が最も多く、次いで「1〜4床」25.0%、「15〜19床」22.2%
「10〜14床」12.4%となっていた。いっぽう、稼働病床数は132施設(34.0%)が無回答であり、約3分の
1の有床診療所では、実際には病床が稼働していないものと考えられる。
ただし、病床の稼働状況は届出病床数の規模が大きくなるに従って稼働率が高くなる傾向がみられる。
届出病床数と稼働病床数が異なる213施設(54.9%)の理由としては、「人的な手当ができないため、
休止している」81施設(38.0%)、「入院実績がないため、病床を他に転用している」60施設(28.2%)、
「病床稼働に当たって不採算部門が多いため、休止している」48施設(22.5%)であった。
8)併設施設の保有状況
併設施設を「保有している」のは、10施設(2.6%)でありその内容は「デイケア」3施設、「在宅介護支援
センタ ー」及び「健診センター」がそれぞれ2施設、「老人保健施設」が1施設であった。
2.施設の診療形態の基礎的事項
1) 施設の機能
施設の現在の主な機能をみると、「単科の専門的医療機能」(41.0%)と「プライマリヘルスケアを中心とした
機能(一次医療)」(36.9%)に2分されている。そして「入院医療機能」(4.4%)、「高齢者の入院医療機能」
(2.6%)と入院医療機能を主としている施設は少なくなっている。二次医療圏別にみると、「プライマリヘル
スケアを中心とした機能(一次医療)は県北(50.0%)で多く、逆に横須賀・三浦(25.6%)、湘南東部
(25.7%)で少なくなっている。
「単科の専門的医療機能」は、湘南東部(48.6%)、湘南西部(46.2%)で多く、逆に横浜南部(33.3%)、
川崎北部(33.3%)川崎南部(33.3%)では少なくなっている。診療科目別にみると、「プライマリヘルスケ
アを中心とした機能」は、内科・小児科・その他の内科系(54.4%)と外科・整形外科・その他の外科(48.1
%)が高く、「単科の専門的医療機能」、産婦人科(56.2%)が高くなっている。
2)得意とする特殊外来診療
得意とする特殊外来診療の有無をみると、全体では、「ある」が38.4%であり、二次医療圏別でみると、湘南
西部(48.0%)、県北(46.2%)、横浜西部(44.7%)で「ある」とする回答が多く、逆に最も低いのは川崎
南部(25.0%)となっている。主たる診療科目別にみると、得意とする特殊外来診療が「ある」のは、その他
(78.6%)が最も多いが、これは胃腸科、脳神経外科、精神科などが含まれているためである。一方、最も
低いのは産婦人科(21.6%)であった。
なお、開設年度別にみると、昭和54年以前に開設した施設では「ある」が50%未満であるが、昭和55年以
降、特に昭和60年〜平成元年は63.0%と高く、開設者別にみると、医療法人では「ある」(50.0%)に対し
、個人では35.6%となっており、届出病床数では1〜9床では30%台であるが、10〜19床は40%台とな
っている。得意とする特殊外来診療が「ある」施設(149施設)について、その内容をみると、「胃腸」(29.5
%)、「東洋医学」(15.4%)高血圧(13.4%)、「リハビリテーション」(11.4%)と続き、「その他」(24.8
%)であった。得意とする特殊外来診療として多くあげられているものは、「内科・小児科・その他の内科系」で
は胃腸(34.0%)、高血圧(22.0%)、糖尿病(20.0%)「外科・整形外科・その他の外科系」では胃腸
(54.7%)、リハビリテーション(32.1%)、ペイン・クリニック(22.6%)、「眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科」
ではアレルギー(37.5%)、糖尿病(25.0%)、「産婦人科」では東洋医学(42.9%)であった。なお「産婦
人科」ではその他の割合が51.4%と多いが、その内容としては不妊症治療、月経異常、更年期障害、子宮
がん診断などがあげられていた。
3)救急診療への取り組み
@救急医療機関の告示の状況
救急告示医療機関かどうかをみると「はい」は6.2%と1割未満であった。二次医療圏別にみると、「はい」と
する回答が1割を超える圏域は川崎北部(14.3%)、横須賀・三浦(14.0%)、県央(10.3%)のみであり
、県西では「はい」と回答した施設はなかった。診療科別にみると、外科・整形外科・その他の外科(16.3%)
が高く、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科では「はい」と回答した施設はなかった。救急告示医療機関である割合が
高いのは、開設年度別では昭和55〜59年(13.3%)、管理者の年齢区分では50歳代(10.9%)、開設
者別では医療法人(16.7%)、届出病床数区分では15〜19床(19.8%)であった。
A救急告示機関の直近3ヶ月間と直近1年間の救急患者数
救急告示医療機関であると回答した施設(24施設)における直近3ヶ月間の救急患者数は、延4,413人(回答
18施設)であり、1施設平均患者数は245.2人であった。直近1年間の救急患者数は延17,461人(回答17施設)
であり、1施設平均患者数は1,027.1人であった。
B非救急告示機関の直近3ヶ月間と直近1年間の救急患者数
救急告示機関でない施設(357施設)について、直近3ヶ月間の救急患者数は、延3,746人であり、1施設平均
患者数は25.3、また直近1年間では延8,913人、1施設平均患者数61.9人であった。直近3ヶ月間の1施設平均
患者数を二次医療圏別にみると、県西が107.9人と最も多く、ついで横須賀・三浦の54.2人、湘南東部の51.9
人の順であった。主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系が40.5人と多く、その他の科目
では平均20人程度となっている。また、直近1年間の1施設平均患者数は、直近3ヶ月間の場合と同様、二次
医療圏別では県西が429.9人と多く、ついで横須賀・三浦の178.0人であり、その他の二次医療圏別では100
人未満であった。主たる診療科目別では、直近3ヶ月間と同様に、内科・小児科・その他の内科系が117.9人
と最も多くなっている。
C救急医療体制の参加状況
救急医療体制への参加状況をみると、「一次(在宅当番)」が23.5%、「二次宇(輪番)」が12.1%、「いいえ」
が61.6%で有り、救急医療体制に参加しているのは、「一次」と「二次」を合せた35.6%であった。二次医療圏
別にみると、救急医療体制に参加していない割合が高いのは、横浜北部(83.9%)、川崎南部(83.3%)、横
浜南部(78.4%)、横浜西部(76.3%)であるが、これらの地域では休日夜間急患センタ−が設置されている
などの理由によるものと考えられる。
「一次(在 宅当番)」への参加割合は湘南東部(57.1%)、湘南西部(40.0%)で 高く、「二次(輪番)」への
参加割合は湘南西部(24.0%)、川崎北部(19. 0%)で高かった。 主たる診療科目別にみると、「一次(在宅
当番)」は産婦人科が 30.9%と高くなっていた。
4) 医薬分業の実施状況
医薬分業の実施状況をみると、「実施している」施設は27.1%であった。二次医療圏別に「実施している」割合
をみると、横浜南部(35.5%)が最も高く、ついで県北(34.6%)、県央(30.8/%)の順であり、最も低いのは川崎南
部であった。主たる診療科目別でみると、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科(66.7%)と約3分の2の施設で実施してい
るのに対して、その他の診療科目では約4分の1の施設で実施されていた。医薬分業を「実施していない」施
設(278施設)についての、今後の実施意向をみると、「今後、実施する予定」は(21.2%)であった。二次医療
圏別でみると、「今後、実施する予定」とする回答の割合が高い圏域は横浜南部(33.3%)と横須賀・三浦(33.3
%)であり最も低い圏域は湘南東部(7.7%)である。主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系
で27.8%と高くなっていた。なお、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科は9.1%と最も低いが、これは医薬分業をすでに実
施している割合が高いためと考えられる。
5)診療所老人医療管理の採用状況
老人医療管理の採用状況をみると、「採用している」のは2.3%(9施設)であった。二次医療圏にみると、川崎
北部、川崎南部、横須賀・三浦、湘南西部の4圏域では採用している施設はなく、主たる診療科目別では全体
9件のうち、内科・小児科・その他の内科系で4件、外科・整形外科・その他の外科系4件であった。また、届出
病床数別では15〜19床であった。なお、診療所老人医療管理を採用している9施設のうち、室数の記入は3施
設で延6室、他に“在宅で”が1件、他5件は無記入であった。
6)保健医療活動の実施状況
日常の診療以外に力を注いでいる保健医療活動は、「予防接種」(48.7%)が最も多く、「住民検診」(40.7%)、
「学校保健」(29.1%)の順であった。また、「特にない」とする回答が19.1%と日常診療以外の保健医療活動を実
施していない施設が約2割であった。二次医療圏別でみると、県西では「予防接種」(82.6%)、「学校保健」
(47.8%)が多く、県北、県央、湘南東部では「住民検診」と「産業保健」の割合が高かった。主たる診療科目
別にみると、内科・小児科・その他の内科系が全般にわたり保健医療活動を実施しており、眼科・耳鼻咽喉科
・皮膚科では「学校保健」の割合が高かった。
3.有床診療所の患者数
1)平成9年2月の1ヶ月間の外来患者数
平成9年2月の1ヶ月間の外来患者数をみると、1施設平均外来患者数は実人員で544.1人、延人員で1,347.4人
であった。平成9年2月1ヶ月間に患者1人が約2.5回受診におとずれたことになる。
二次医療圏別でみると、1施設あたりの実人員が多いのは、湘南西部 810. 8人、川崎北部716.7人、県西607.4
人であり、延人員で多いのは、県北1,604.5人、川崎北部1,541.4人、県央1,516.9人であった。主たる診療科目別
でみると、実人員で最も多いのは眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科788.6人内科系・外科系はそれぞれ700人程度である
が、産婦人科は305.8人と最も少なかった。一方、延人員をみると、外科・整形外科・その他の外科で2,277.8人と
最も多く、ついで眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科の1,777.3人の順であった。
2)平成9年3月7日24時現在の入院患者数
平成9年3月7日24時現在で入院患者を受け入れている施設は138施設であり、入院患者合計数は1,157人、
1施設平均入院患者数は8.4人であった。
二次医療圏別にみると、1施設あたりの平均入院患者数多いのは、川崎北部(11.7人)、横浜南部(10.8人)であり、
主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系と外科・整形外科・その他の外科が共に
12. 9人と
多かった。
@年齢階級別入院患者数
入院患者数の年齢階級をみると、「65歳以上」が519人(44.9%) 次いで「15〜34歳」が337人(29.1%)、「45〜64
歳」が200人(17.3%)、「35〜44歳」が82人(7.1%)、「0〜14歳」が19人(1.6%)であった。
二次医療圏別にみると、65歳以上の入院患者は、「横浜南部」(65.6%)、「県西」(58.1%)、「横須賀・三浦」(51.5%)、
「県北」(51.4%)で高かった。主たる診療科目別にみると、「内科系」(70.9%)、「その他」(67.2%)、「眼科・耳鼻咽喉
科」・皮膚科」(62.8%)で高く、「産婦人科」では5.7%であった。
A居住地域別入院患者数
138施設における入院患者1,157人の居住地域をみると、有床診療所が「所在する市(区)町村内」の入院患者数
は802人(71.7%)、「所在する二次医療圏内」の入院患者数は187人(16.7%)、「その他」の入院患者数は129人
(11.5%)であり、二次医療圏内の患者が約9割を占めていた。二次医療圏別にみると、二次医療圏外からの患者
が多いのは、「県北」(29.2%)、「横浜北部」(24.4%)、「県西」(17.6%)であった。主たる診療科目別には、全体の傾向
とほぼ同様であった。
B65歳以入院患者の入院期間
65歳以上の入院患者を受け入れている66施設の入院患者数519人のうち、入院期間が記入されていた511人につ
いて入院期間をみると、「2週間未満」は95人(18.6%)、「6ヶ月未満」は251人(49.1%)、「1年未満」は62人(12.1%)、
「1年以上」は103人(20.2%)であり、6ヶ月以上の長期入院患者は全体の約3分の1を占めていた。
二次医療圏別に、6ヶ月以上の長期入院患者の割合が高いのは「横浜南部」54.7%)「川崎北部」45.3%「県北」40.5%
であった。主たる診療科目別には、外科系でやや長期入院患者が少なかった。
C65歳以上の入院患者の居住地域
65歳以上の入院患者の居住地域をみると、「所在する市区町村」の入院患者は379人(74.2%)、「所在する二次医療
圏内」の入院患者は73人(14.3%)、「その他」の入院患者は59人(11.5%)であった。二次医療圏別にみると、「所在
する市区町村」が高いのは、「横須賀・三浦」91.0%、「横浜西部」88.9%、「川崎南部」87.1%「湘南東部」86.7%であり、
逆に低いのは「横浜北部」37.0%、「川崎北部」64.2%である。「その他」の割合は「横浜北部」38.9%、「県北」27.0%
「川崎北部」22.6%で高かった。主たる診療科目別にみると、産婦人科では「その他」が46.2%と高いが、その他の
診療科目では全体の傾向とほぼ同様であった。
D65歳以上の入院患者の日常生活自立度
65歳以上の入院患者の日常生活自立度については、回答があった60施設、入院患者数471人について集計した。
65歳以上の入院患者で「障害なし」は91人(19.3%)であり、有床診療所に入院している65歳以上高齢者の約8割は何
らかの障害を有していた。障害を持つ場合の日常生活自立度では、「一日中ベッドで過ごし、排泄、食事、着替えに
おいて介助を必要とする」(ランクC)は150人(31.8%)、「屋内での生活は何らかの介助を必要し、日中もベッドの上
での生活が主体であるが、座位を保つ」(ランクB)は72人(15.3%)、「屋内での生活は概ね自立しているが、介助なし
には外出できない」(ランクA)は64人(13.6%)、「何らかの障害を有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外
出する」(ランクJ)は94人(20.0%)であった。ランクBとランクCとを合計したいわゆる「寝たきり老人」の割合は47.1%
であった。
寝たきり老人の割合を二次医療圏別にみると、「横浜南部」67.0%、「横浜西部」66.7%「県北」60.0%、「川崎北部」
58.5%で高くなっていた。主たる診療科目別にみると、「眼下・耳鼻咽喉科・皮膚科」(60.0%)、「内科・小児科・その
他内科系」(52.8%)、「その他」(48.9%)で寝たきり老人の割合は高かった。
E65歳以上の入院患者の痴呆程度
65歳以上の入院患者の痴呆程度については回答のあった56施設446人ついて集計した。
痴呆「なし」は197人(44.2%)、「軽度のぼけ」は83人(18.6%)「中程度のぼけ」は48人(10.8%)「高度のぼけ」が49人
(11.0%)、「非常に高度のぼけ」は69人(15.5%)であった。二次医療圏別にみると、痴呆なしの割合が低いのは、
「横浜西部」11.1%、「横浜南部」29.5%、「川崎北部」30.2%であった。主たる診療科目別にみると、痴呆なしの割合
が高いのは、「産婦人科」(100.0%)、「外科・整形外科・その他の外科系」(58.7%)であった。
4.医療施設間の機能連携
1) 他の医療施設への患者紹介の状況
@専門外の診断が必要な時の紹介先診療所
専門外の診断が必要な時に患者を紹介できる診療所が「ある」との 回答は85.1%であり 、「ない」のは10.6%
であった。 二次医療圏別にみると、「ある」とする回答は県央(94.9%)、横須賀・三浦(90.7%)で高く、「ない」と
する回答は川崎北部(23.8%)横浜北部(16.1%)で高かった。主たる診療科目別にみると、眼科・耳鼻咽喉科・
皮膚科で「ある」とする回答が90.9%と高かった。
専門外の診断が必要な時に患者を紹介できる診療所が「ある」と回答した施設(330施設)について、平成9年
2月1ヶ月間に紹介した患者数をみると、「1〜2人」(27.0%)が最も多く、ついで「3〜4人」(25.5%)、「5〜9人」
(17.9%)と続き、1〜9人までで全体の約7割を占めていた。
二次医療圏別にみると、「5〜9人」及び「10人以上」の割合が高い圏域としては、県西、県北、湘南西部があげ
られ、逆に、川崎南部、横浜西部、横浜南部は低くなっている。主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その
他の内科系では「5〜9人」、「10人以上」をあわせると47.2%と5割近くと、他科に比較して多くの患者紹介を行って
いた。
A入院等を目的とした紹介先連携病院
検査・診療・手術あるいは入院などを目的として、患者を紹介できる連携病院は、「ある」が92.3%、「ない」が
4.4%であった。
二次医療圏別にみると、「ある」とする回答は湘南西部(84.0%)、湘南東部(85.7%)、横浜 北部(88.7%)以外はすべ
て90%以上となっていた。主たる診療科目別にみても、全科目で90%以上となっていた。
入院等を目的とした連携病院が「ある」と回答した施設(358施設)について、平成9年2月1ヶ月間に紹介した患者数
は、「1〜2人」(31.6%)「3〜4人」(27.7%)「5〜9人」(18.2%)と続き 「1〜4人」で全体の59.2%、約6割近くを占めていた。
二次医療圏別にみると、「5〜9人」、「10人以上」を合わせた比率の高い圏域は、川崎北部、県西、湘南西部、
横浜北部などで30%を超えていた。
主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系と外科・整形外科・その他の外科が「5〜9人」、「10人
以上」を合わせると共に40%近くを占めていた。
2)紹介する主な医療機関との関係
紹介する主な医療機関との関係をみると、「距離的に近いから」 (62. 9%)が最も多く、ついで「患者・家族が希望
するから」(47.9%)、「地域医師会の会員」(39.4%)、「自分の出身大学の関連病院」(26.8%)の順であった。
二次医療圏別にみると、「距離的に近いから」は川崎北部(81.0%)、横浜北部(74.2%)で高く、「自分の出身大学」
は川崎北部(28.6%)、「地域医師会の会員」は県北(69.2%)で高くなっており、県北では地域医師会を中心とした連携
体制が整備されているものと考えられる。なお、「患者・家族が希望するから」は川崎南部(29.2%)で低くなっていた。
主たる診療科目別にみると、「地域医師会の会員」は産婦人科(45.7%)が高く、逆に、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科
(24.2%)で低く、また「自分の出身大学の関連病院」は眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科(36.4%)がやや高くなっていた。
5.在宅ケアの実施状況
1) 訪問診療の実施状況と今後の実施意向
訪問診療を実施「している」有床診療所は19.3%であり、実施「していない」施設(76.5%:297施設)での今後の実施
意向をみると、「今後、実施する予定である」は15.2%であった。
二次医療圏別にみると、実施「している」割合は湘南西部(32.0%)県西 (30.
4%)で高く、逆に県北(7.7%)、川崎南部
(8.3%)で低くなっていた。実施「していない」と回答した施設での「今後、実施する予定である」とする回答は県北
(26.1%)、湘南東部(25.9%)で高く、逆に川崎南部や県西では「今後、実施する予定である」との回答はなかった。
主たる診療科目別にみると、実施「している」は内科・小児科・その他の内科系(35.0%)が高く、逆に産婦人科(8.6%)
が低かった。
実施「していない」施設での「今後、実施する予定がある」とする回答は内科系及び外科系ではそれぞれ20%程度で
あったが、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科では7.7%であった。
訪問診療を実施「している」施設(75施設)について、平成9年2月1ヶ月間の実施回数をみると、平均で13.1回で
あるが、回数区分では「1〜3回」(30.7%)、「10回以上」(25.3%)と二極分化していた。
二次医療圏別にみると、平均回数では川崎北部52.7回、横須賀・三浦29.7回が多くなっ ていた。
主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系が18.9回であった。
訪問診療で実施している医療行為をみると、「血液検査」(50.7%)が最も多く、ついで「点滴注射」(46.7%)、「尿道留置
カテーテル」(40.0%)の順であった。二次医療圏別にみると、「点滴注射」は川崎南部で100.0%、「経営栄養」、
「心電図」及び「気管カテーテル交換」は川崎北部で75.0%、「中心静脈栄養」は川崎南部で50.0%が多くなっていた。
また、主たる診療科目別にみると、「血液検査」は眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科で71.4%、「心電図」は眼科・耳鼻咽喉科
・皮膚科で57.1%と多くなっていた。
2)訪問看護の実施状況と今後の実施意向
訪問看護を実施「している」有床診療所は31施設(8.0%)であった。現在、実施「していない」と回答した施設327施設
(84.3%)のうち、「今後、実施する予定である」のは14.1%であった。
現在実施「している」施設(31件)の平成9年2月の1ヶ月の実施回数は、平均12.3回であるが、回数区分では「1〜3回
」が45.1%と約半数を占めていた。
訪問看護を実施「している」施設の割合は、二次医療圏別には差はなく、主たる診療科目別にみると、外科・整形
外科・その他の外科が15.4%と実施率がやや高く、また届出病床数15〜19床の実施率が18.6%と高くなっていた。
訪問看護を実施していない施設における今後の実施意向は、二次医療圏別にみると、横浜西部(21.2%)、県北
(20.8%)で高く、診療科目別にみると内科・小児科・その他の内科系で24.4%と高くなっていた。
3)訪問リハビリテーションの実施状況と今後の実施意向
訪問リハビリテーションの実施状況をみると、実施「している」施設6施設(1.5%)であった。また、訪問リハビリテー
ションを実施「していない」回答した358施設(92.3%)のうち「今後、実施する予定である」のは22施設(6.1%)であった。
現在、訪問リハビリテーションを実施「している」6施設のうち平成9年2月1ヶ月間の実施回数は平均7回(有効回答
2施設)であった。
4)在宅ターミナル・ケアの取り組み状況と今後の実施意向
在宅ターミナル・ケアの取り組み状況をみると、現在実施「している」のは26施設(6.7%)であり、現在実施「していな
い」施設336施設 (86. 6%)のうち、「今後、実施する予定である」は50施設(14.9%)であった。現在、在宅ターミナル
・ケアを実施「している」26施設の平成9年2月1ヶ月の実施回数は平均2.2回であった。
二次医療圏別に今後の実施意向をみると、湘南西部(25.0%)、県北(21.7%)で高く、逆に 川崎南部(4.5%)と低く
なっていた。
また、主たる診療科目別にみると、現在実施「している」割合は、内科・小児科・その他の内科系で18.4%と高く、
今後の取り組み意向においても現在「していない」施設の内、内科・小児科・その他の内科系では25.0%が「今後、
実施する予定である」と回答していた。
6.施設の将来構想
1) 施設の病床計画
@病床の意向
今後、施設の病床をどのようにしていくかについての意向をみると「現在の機能を維持したい」が47.7%と最も多く、
ついで「無床診療所へ転換し、プライマリヘルスケアなどを中心に行いたい」が25.5%であった。
なお、「その他」(25施設)の内容は、閉院したい(9施設)、無床にし、そのまま(6施設)、子供がどうするかによる
(3施設)などであった。
二次医療圏別にみると、「現在の機能を維持したい」は湘南東部
(60. 0%)、川崎南部(58.3%)、川崎北部(57.1%)
で高く、「無床診療所へ転換し、プライマリヘルスケアなどを中心に行いたい」は湘南西部(36.0%)、県西(34.8%)、
県北(34.6%)、県央(33.3%)、横浜北部(30.6%)で高く、逆に川崎南部(8.3%)で低くなっていた。
主たる診療科目別にみると、「現在の機能を維持したい」は内科・小児科・その他の内科系が56.2%と高く、「高齢
者などの長期療養者に対するケアを中心に行いたい」は内科・小児科・その他の内科系で14.6%と高くなっていた。
A療養型病床群への転換希望
「高齢者などの長期療養者に対するケアを中心に行いたい」と回答した22施設に対し、医療法が改正された場合、
可能なら療養型病床群への転換希望を聞くと22施設中「希望する」が17施設(77.3%)であり、長期療養患者に対
するケアを中心に行う場合には療養型病床群に転換していく意向が高かった。
B療養型病床群への転換の障害
療養型病床群への転換希望のある施設(17施設)における転換にあたっての障害の有無は「ある」が15施設
(88.2%)であった。
障害が「ある」と回答した15施設における障害の内容は、「看護等の人員面」12施設、「機能訓練室等の施設面」
8施設であった。また療養型病床群への転換にあたっての問題点として、自由回答があったものは図表6-1-4に
示すように、「人材の確保」、「設備及び改築等の資金の問題」、「人件費の問題」が多くあげられていた。
図表6−1−4.有床診療所が療養型病床群への転換にあっての問題点(自由記入)
・人材(付添婦、看護婦,医師、専門医など)の確保 ...... 24件
・設備及び改築等の資金の問題 ..... .9件
・人件費の問題 ..... .7件
・現在の施設の問題(床面積、建築構造上の整備など)..... .4件
・規則(基準)が厳しい点 ..... .3件
・採算性 .... .3件
・管理者不足(24時間体制など) ..... 3件
2) 高齢者などに配慮した施設の整備状況と今後の整備意向
高齢者などに配慮した機能訓練室から廊下までの6設備について、整備状況をみると、「整備済み」はトイレ
(18.8%)が最も高く、次いで廊下(17.3%)、浴室(12.4%)、談話室(8.0%)、食堂(6.4%)、機能訓練室
(5. 9%)であった。
また「今後整備する意向あり」とする回答は6設備とも10%未満であり、「整備する意向なし」が30〜40%であった。
なお、全般に無回答が40〜50%となっているが、調査対象施設では約3分の1の施設では病床が稼働しておらず、
入院患者を受け入れていないためであると考えられる。 6つの設備の整備状況が高いのは、実際に病床が稼働
している届出病床数が多い15〜19床の施設であり、トイレ(41.9%)、廊下(39.5%)、浴室(30.2%)、談話室(18.6%)、
食堂(17.4%)、機能訓練室(15.1%)であった。
3)医療承継問題
@後継者の有無
施設の後継者の有無をみると、「既に継いでいる」(8.8%)、「今後、継ぐと思う」(31.7%)であり、全体の約4割の施設
で後継者が決まっている。一方、「たぶん継がないと思う」(7.7%)、「後継者はいない」(23.7%)で、後継者が不在と
考えられる施設が約3割、そして後継者はいるが「継ぐかどうかわからない」(21.9%)と約2割であった。
管理者の年齢別にみると、70歳以上においては「後継者はいない」が35.0%であり、また、40〜50歳代において
「継ぐかどうかわからない」がそれぞれ30%程度であった。
主たる診療科目別にみると、内科・小児科・その他の内科系では後継者は約5割で決められているが、産婦人科
では「後継者はいない」が3割程度となっており、今後地域の産婦人科のプライマリケアの確保が問題になるものと
考えられる。 届出病床数の規模別にみると、病床数が多いほど後継者が決まっている割合は高く、15〜19床
での「後継者はいない」割合は8.1%であった。
A医業後継者不在の場合の対応
施設の「後継者はいない」と回答した92施設について、今後の対応についてみると、「現在の診療所は、自分の代
で廃院にする予定」が58施設(63.0%)であり、「引退する時期になったら、後継者を探す予定」は18施設(19.6%)で
あった。
管理者の年齢別にみると、「現在の診療所は、自分の代で廃院にする予定」は、50歳代(88.9%)60歳代(63.9%)
40歳代(60.0%)、70 歳代(57.1%)であった。 主たる診療科目別にみると、内科系、外科系では「引退時、後継者を
探す予定」がそれぞれ30%台であるが、産婦人科は「現在の診療は、自分の代で廃院にする予定」が69.2%と高
かった。
調査結果
調査結果のまとめ
本調査は、神奈川県における有床診療所の設備や人員等の施設機能、及び医療施設間の連携や在宅医療への
取り組み等の医療機能の実態を明らかにし、二次医療圏単位の地区保健医療計画の策定、及び今後の医療機能
整備の方向性等を検討するための基礎資料とすることを目的として実施した。
本調査は、質問用紙を用いたアンケート調査を郵送により配布・回収し、対象とした有床診療所760施設のうち、
388施設より回答が得られ、回収率は51.9%であった。
1. 調査結果の概要
1) 施設の診療機能
● 施設の現在の主な機能は、「単科の専門的医療機能」(41.0%)、「プライマリヘルスケアを中心とした機能
(一次医療)」(36.9%)が多く、入院医療機能(4.4%)、高齢者の入院医療機能(2.6%)は少なかった。
●得意とする特殊外来診療がある施設は38.4%であり、その内容としては「胃腸」(29.5%)「東洋医学」(15.4%)、
「高血圧」(13.4%)、「リハビリテーション」(11.4%)であった。
●救急告示医療機関は6.2%であり、主たる診療科目別では、外科・整形外科・その他の外科で16.3%と高く、
また、届出病床数では「15〜19床」の施設が19.8%と高かった。
救急告示医療機関(24件)での直近3ヶ月間の救急患者数は延4,413人(1施設平均245.2人)であった。また、直近
1年間の救急患者数は延17,461人(1施設平均1,027.1人)であった。
救急告示機関でない施設(357件)における救急患者数は直近3ヶ月間で延3,746人(1施設平均25.3人)、また直近
1年間で延8,913人(1施設平均61.9人)であった。
救急医療体制への参加状況は、「いいえ」が61.6%と過半数を超え、参加は一次(23.5%)と二次(12.1%)をあわせて
35.6%であった。
●医療分業を「実施している」は27.1%であり、二次医療圏別では横浜南部(35.3%)、県北(34.6%)、県央(30.8%)で
3割以上を占めていた。
主たる診療科目別にみると眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科では66.7%と高く、他の科目では2割台であった。
医療分業を実施していない(278件)施設で今後、実施する予定と回答したのは21.2%であった。
●老人医療管理を採用している施設は2.3%(9件)であり、主たる診療科目別は「内科・小児科・その他の内科系」
が4件、「外科・整形外科・その他の外科」が4件であった。
また、届出病床数が15~19床が6件であった。
●日常の診療以外に力を注いでいる保健医療活動としては、「予防接種」 (48.
7%)、住民検診(40.7%)、学校保健
(29.1%)があげられ、「特にない」施設は19.1%であった。
2)患者数の実態
● 平成9年2月の1ヶ月間の1施設平均の外来患者数は、実人員で544.1人、延人員で1,347,4人であった。
●平成9年3月7日24時現在で入院患者を受け入れている施設は138施設であり、入院患者数は1,157人1施設平均
は8.4人であった。
年齢階級別にみると65歳以上の入院患者数は519人(44.9%)であった。 65歳以上の割合は内科・小児科・その他
の内科系(70.9%)、外科・整形 外科・その他の外科(50.6%)、「眼科・耳鼻科・皮膚科」(62.8%)、産婦人科(5.7%)
であった。
●入院患者の居住地域をみると、入院患者1,157人のうち、診療所が「所在する市町村内」の患者数は802人
(71.7%)、「所在する二次医療圏内」の患者数は187人(16.7%)、その他の患者数は129人(11.5%)であった。
● 65歳以上の入院患者(519人)の入院期間をみると、「2週間未満」は95人(18.6%)、「6ヶ月未満」は251人(49.1%
)、「1年未満」は62人(12.1%)、「1年以上」は103人(20.2%)であり、6ヶ月以上の長期入院患者は約3分の1であった。
● 65歳以上の入院患者の居住地域をみると、診療所が「所在する市区町村内」の患者は379人(74.2%)、「所在
する二次医療圏内」の患者は73人(14.3%)、「その他」の患者は59人(11.5%)であった。
● 65歳以上の入院患者の日常生活自立度をみると、回答のあった入院患者数
471人のうち、「何ら障害を有して
いない」は91人(19.3%)、「ほぼ自立、 独力で外出」は94人(20.0%)、「概ね自立、外出には介助が必要」は64人
(13. 6%)「ベットの上での生活、座位を保つ」は72人(15.3%)、「ベットの上での生活、介助が必要」は150人(31.8%)
であり、いわゆる「寝たきり老人」は222人(47.1%)であった。
● 65歳以上の入院患者の痴呆の程度をみると、回答のあった入院患者数446
人のうち、痴呆「なし」は197人
(44.2%)、「軽度のぼけ」は83人(18.6%)、「中程度のぼけ」は48人(10.8 %)、「高度のぼけ」は49人(11.0%)、
「非常に高度のぼけ」69人(15.5%)であった。
3)医療施設間の機能連携
● 他の医療施設への患者紹介先は「ある」が85.1%であり、「ない」は10.6%であった。「ない」とする回答は川崎
北部(23.8%)で高かった。
平成9年2月1ヶ月間に紹介した患者数は、 1〜2人(27.0%)が最も多く、ついで3〜4人(25.5%)5〜9人(17.9%)で
あった。
●入院を目的とした患者の紹介先の連携病院は、「ある」が92.3%であり、二次医療圏別では、湘南西部(84.0%)、
湘南東部(85.7%)、横浜北部(88.7%)以外はすべて9割以上であった。
平成9年2月lヶ月間に紹介した入院患者数は1〜2人(31.6%)、3〜4人(27.7%)、5〜9人(18.2%)であった。
●紹介する主な医療機関との関係は、「距離的に近いから」(62.9%)が最も多く、ついで「患者・家族が希望する
から」(47.9%)、「地域医師会の会員」(39.4%)、「自分の出身大学の関連病院」(26.8%)、「以前に勤務していた病院・
診療所」(13.4%)の順であった。
二次医療圏別にみると「距離的に近いから」は川崎北部(81.0%)、横浜北部(74.2%)で高く、「患者・家族が希望する
から」は川崎南部(29.2%)で低く、「地域医師会の会員」は県北(69.2%)で高かった。
主たる診療科目別では、「地域医師会の会員」は産婦人科で45.7%と高く、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科24.2%と低く
なっていた。
4)在宅ケアの実施状況
● 訪問診療を実施「している」は19.3%であり、実施「していない」施設で「今後、実施する予定である。」のは15.2%
であった。訪問診療の実施状況二次医療圏別でみると、湘南西部(32.0%)、県西 (30.4%)が高く、県北(7.7%)、
川崎南部(8.3%)が低かった。「今後、実施する予定である」が高い圏域は、県北(26.1%)、湘南東部(25.9%)で
あった。
主たる診療科目別でみると、実施割合は、「内科・小児科・その他の内科系」(35.0%)が高く、逆に「産婦人科」
(8.6%)が低かった。実施していない施設での今後の実施意向は「内科系」、「外科系」でそれぞれ
20%程度で
あった。
● 訪問診療の実施回数と医療行為内容をみると、訪問診療を実施している75施設の平成9年2月1ヶ月間の
回数は平均13.1回であった。
実施している医療行為内容は「血液検査」(50.7%)ついで「点滴注射」 (46.
7%)、「尿道留置カテーテル」(40.0%
)、「心電図」(34.7%)の順であった。
●訪問看護を実施しているのは31施設(8.0%)であり「今後、実施する予定である」施設は14.1%であった。
現在実施している施設での平成9年2月の1ヶ月の実施回数は、平均12.3回であるが、「1〜3回」が45.2%であった。
主たる診療科目別では外科・整形外科・その他の外科が15.4%と実施率がやや高く、届出病床数が15〜19床の
実施率が18.6%と高かった。
今後の実施意向は、二次医療圏別で横浜西部(21.2%)、県北(20.8%)で高く、診療科目別では「内科・小児科・
その他の内科系」(24.4%)で高かった。
●訪問リハビリテーションを実施しているのは6施設(1.5%)であり、「今後実施する予定である」は22施設(6.1%)
であった。
●在宅ターミナル・ケアの取り組みを「している」施設は26施設(6.7%)であり、「今後、実施する予定である」は
50施設(14.9%)であった。平成9年2月1ヶ月間の回数は平均2.2回であった。
二次医療圏別でみると、今後の取り組み意向は湘南西部(25.0%)、県北(21.7%)が高かった。
5)施設の将来構想
● 今後の病床計画をみると、「現在の機能を維持したい」(47.7%)と最も多く、ついで「無床診療所へ転換し、
プライマリヘルスケアなどを中心に 行いたい」(25.5%)であった。
主たる診療科目別でみると、「現状維持」は内科・小児科・その他の内科系が56.2%と高く、「高齢者などの長期
療養者に対するケアを中心に行いたい」は内科・小児科・その他の内科系の14.6%と高かった。
●「高齢者などの長期療養者に対するケアを中心に行いたい」との意向を示した22施設に対し、医療法が改正
された場合、療養型病床群への転換を「希望する」は17件(77.3%)であった。
療養型病床群への転換希望のある施設(17施設)の、転換にあたり障害になるものの有無を聞くと、「ある」が
15施設(88.2%)であり、その内容は、「看護婦等の人員面」(12施設)、「機能訓練室等の施設面」(8施設)が
大きな障害となっている。
●高齢者などに配慮した施設の整備と今後の整備意向をみると、「整備済み」は、トイレ(18.8%)、廊下(17.3%)、
浴室(12.4%)の3設備のみが10%台で、他の3設備は10%以下であった。
また未整備の場合の「今後整備する意向あり」は、6設備とも10%以下であり、「整備する意向なし」が30%台で
あった。
●施設の後継者は「既に継いでいる」(8.8%)、「今後、継ぐと思う」(31.7%)
で、全体の約4割の施設で後継者が
決まっている。一方、「たぶん継がないと思う」(7.7%)、「後継者はいない」、(23.7%)で、後継者がいない施設が
約3割、そして後継者はいるが「継ぐかどうかわからない」(21.9%) であった。
主たる診療科目別では、内科・小児科・その他の内科系での後継者は約5割決められているが、産婦人科では
3割程度で、「後継者はいない」 が3割を超えていた。
●「後継者はいない」(92施設)では、「現在の診療所は、自分の代で廃院にする予定」が58施設(63.0%)であり、
「引退する時期になったら、後継者を探す予定」が18施設(19.6%)であった。
2.まとめ
1) 神奈川県の有床診療所の特徴
神奈川県の有床診療所は、平成7年医療施設調査結果によると750施設、人口10万人対で9.6施設であり、
全国の人口10万人対17.7施設に比較して、約2分の1の水準にある。病床数は6,572床、人口10万人対79.7床
であり、全国の人口10万人対206.5床に比較して、約4割の水準であった。
これは、神奈川県では、人口構造が全国に比較して若いために人口あたりの患者数が少ないこと、医療施設の
利用において東京都へ流出していること、等によるものと考えられる。
1施設あたりの病床数をみると、神奈川県は8.76床であり、全国の11.91床に比較して低く、比較的小規模と
なっている。
なお、本調査結果における1施設あたりの病床数は9.07床であり、平成7年医療施設調査結果とほぼ同程度の
水準であった。
本調査における有床診療所の病床利用率は33.4%であった。
平成5年医療施設調査結果による有床診療所の病床利用率は神奈川県28.3%、全国42.7%であり、神奈川県の
有床診療所の病床利用率は低い水準にある。
なお、本調査の病床利用率は平成5年医療施設調査結果よりも高い値となっているが、これは 本調査では病床
が稼働している施設から多く回答されたためと思われる。
1施設の1日あたり患者数は、本調査では58.6人と推計されたが、平成5年医療施設調査結果によると、神奈川県
で55.5人、全国で70.2人であった。
以上のように、神奈川県の有床診療所は、全国に比較して小規模であるといえる。
2) 病床の稼働状況
神奈川県の有床診療所の病床の稼働状況について、実際に病床が稼働できる状態にあるかをみるために、
届出病床に対する稼働病床の割合をみると、施設数で66.1%、病床数で63.3%であり、約3分の1の施設は病床が
使われる状態にはないものと考えられる。
また、稼働している病床に対する入院患者の受け入れ状況をみると、施設は53.9%、病床数で52.4%であり、利用
水準は約2分の1である。すなわち、実際の届出病床数に対する病床利用率は約3分の1程度の水準であるものと
考えられる。また、届出病床規模別にみると、10床未満では病床の約半数が稼働しているのみであるが、規模が
大きくなるに従って稼働率が高くなっており、有床診療所の中でも小規模施設では病床を休止・廃止し、外来診療を
中心になってきていることが窺える。
主たる診療科目別にみると、届出病床に対する稼働病床の割合は、その他では高く、逆に外科系では低く、稼働
病床に対する入院患者の割合は、内科系、外科系では高く、逆に産婦人科系では低くなっている。
すなわち、外科系では、病床を休止している施設の割合は高いが、稼働している場合には60%程度の病床利用率
となっているが、産婦人科では患者数の多寡に係わらず標榜している場合には病床を稼働させておく必要がある
ため、稼働施設の割合は高いものの入院患者は少なくなっている。
二次医療圏別にみると、届出病床に対する稼働病床の割合は、川崎北部、横須賀・三浦、県西では高いが、逆に
横浜北部、横浜西部、湘南東部、湘南西部では低くなっている。
稼働病床に対する入院患者の割合は、横浜南部、川崎北部では高く、逆に横浜西部、県央では低くなっている。
3) 有床診療所の施設機能
現在の有床診療所の管理者の年齢構成をみると、70歳以上が25.8%、60 歳上が43.8%と合わせて69.6%と約7割が
60歳以上と高齢化している。
このような有床診療所における施設の後継者をみると、「既に継いでいる」(8.8%)、「今後、継ぐと思う」(31.7%)で
全体の約4割の施設で後継者が決まっているものの、「たぶん継がないと思う」(7.7%)、「後継者はいない」(23.7%)
と、後継者がいない施設が約3割、そして後継者はいるが「継ぐかどうかわからない」(21.9%)と約2割となっている。
また、「後継者はいない」(92施設)施設では、「現在の診療所は、自分の代で廃院にする予定」が58施設(63.0%)
となっており、全体では最低でも15%程度の有床診療所では、現在の管理者が引退した場合には廃院になるもの
と考えられる。
また、有床診療所の現在の主な機能は、「単科の専門的医療機能」(41.0%)、「プライマリヘルスケアを中心とした
機能(一次医療)」(36.9%)であり、これらの2つの機能に二極分化してきている。
また、今後の病床計画においては、「現在の機能を維持したい」(47.7%)が最も多く、ついで「無床診療所へ転換し、
プライマリヘルスケアなどを中心に行いたい」(25.5%)でることから、プライマリヘルスケアを中心とした機能の施設
が増加していくものと考えられる。
このように、二次医療圏ごとに有床診療所の開設時期や管理者の年齢構成は異なるだけでなく、無床診療所への
転換を予定している施設の割合も二次医療とに異なっているため、今後、二次医療圏ごとに、病院、有床診療所、
無床診療所を含めた医療供給体制のあり方を検討していくことが必要である。
4)有床診療所における高齢者入院患者の特徴
本調査における有床診療所における入院患者に占める65歳以上の高齢の割合は44.9%であった。
平成5年患者調査結果より、有床診療所の入院患者に占める65歳以上入院患者の割合は、神奈川県25.0%、
全国54.8%であり、全国に比較して、65歳以上入院患者の割合は低くなっている。
なお、本調査の65歳以上入院患者の割合は平成5年患者調査結果よりも高い値となっているが、これは平成5年
以降に有床診療所での高齢者の入院が展したものと考えられる。
有床診療所における高齢者入院患者の特徴を二次医療圏ごとにみると、横浜西部、横浜南部、川崎北部では
寝たきりや痴呆などの介助を必要とする高齢者の割合が高くなっているが、逆に湘南西部、県央、川崎南部では
低くなっており、二次医療圏ごとに高齢者に対する有床診療所の果たして いる役割が異なっているものと考えら
れる。
なお本報告書においてはテキストのサイズ面で図表を削除しています。