投稿 門脇 秀夫

日本医師会の平成7年度無作為抽出による医療経済実態調査によると、
診療所院長の平均年令は、55.8才で、60才以上が44%と半数弱を占め、
高齢化現象が続いている。ベットでは有床として届けている施設が34.3%。
うち13.3%が無床化して、実際に活躍しているのは21%の割合であり、有床
診療所のペースダウンに歯止めがかかっていない。
一方まわりに分娩取扱をやめた施設を散見する産婦人科の実状はどうで
あろうか。平成7年の母子保健統計によると、全国出生数118万のうち、
病院出生数が54.5%、診療所が44.4%、助産所が、0.9%の割合であり、別の
平成4年の推計で、有床診療所の分娩数は年間50〜55万人であり、この
うち9床以下の施設で23〜25万人が分娩している。
衰退化したと思われた有床診療所が、この様に地域に密着し、かかりつけ
医として医療を効率的に運営し、周産期医療を第1の柱とした専門的施設
として、地域の需要にこたえ、信頼を集めていると言えよう。
本年3月神奈川県で実施した有床診療所病床機能調査によると、有床診療所
760施設のうち、388施設より回答がよせられ、回収率は51.9%であった。
そのうち産婦人科は162施設で、全体の41.8%を占め、最も多い診療科目で
あり、これは全国的にも同じである。また約3分の1の有床診療所は、無床
化されている。
産婦人科有床診療所の課題は、病床利用の第1の柱を周産期医療対応
とし、第2の柱として手術、検査、点滴治療等の一日入院の積極的利用を
かかげ、第3の柱として他科かかりつけ医と連携して、寝たきり高齢婦人の
骨粗しょう者、子宮脱、尿失禁、ターミナルケア等在宅医療にも参加し、
それによる診療所老人医療管理科、診療所療養型病床群採用も視野に
入れる事が望まれる。
最後に日本の医療文化の原点である有床診療所を、最大の組織である
産婦人科からも、若い世代の参入を得て、守り発展されん事を祈ります。


1997.10.16掲載

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