全国有床診療所連絡協議会ニュース
              有診協ニュース第44号
               平成14年11月発行


日医有床診療所に関する検討委員会(プロジェクト)発足

 さきに長崎で行われた、第15回全国有床診療所連絡協議会総会の時、坪井
日医会長が、日医の中に有床診療所委員会を作る。その前段階としてプロジ
ェクトチームを立ち上げると約束された。そして委員の人選を内藤全国有床診
療所連絡協議会会長に相談された。これを受けて、全国有床診療所連絡協議
会では、急遽9月15日に常任理事会を開催し、委員の人選を行った。
 その推薦をふまえて、日医では次の10名の委員と、担当役員として星日医
常任理事とを任命した。第1回有床診療所に関する検討委員会は、平成14年
11月6日14:00より、日本医師会館で行われた。坪井日医会長の挨拶ののち、
委員長に大道久先生が指名された。第1回目であるので、主題に対する各委員
のフリートーキングで開始された。各委員より、非常に活発な意見が述べられ、
大道委員長がそれを要領よく整理していただいたのが印象的であった。

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有床診療所に関する検討委員会(プロジェクト)

1.設置目的
    地域に密着した入院施設である有床診療所の将来構想を検討する。

2.任期等

   平成15年3月31円まで
   5回以内の開催

3.委員
   
     伊藤 信一   (青森県伊藤眼科クリニック院長)
     
     犬尾 博治   (長崎県犬尾内科医院院長)
     
     大岩 俊夫   (福岡県大岩外科医院院長)
     
     大道  久   (日本大学医学部医療管理学教授)
     
     海江田 健   (鹿児島県海江田外科院長)
     
     小林  高   (岩手県小林産婦人科医院院長)
     
     田那村 宏   (千葉県田那村整形外科院長)
     
     内藤 哲夫   (神奈川県内藤外科胃腸科医院院長)
     
     長谷川友紀   (東邦大学医学部公衆衛生学助教授)
     
     藤野 圭司   (静岡県藤野整形外科医院院長)


4.担当役員
  
   星常任理事

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各委員の発言内容(要旨)

(内藤委員)

 有床診療所連絡協議会の発足から今日に至るまでの有床診療所の経過を簡潔に述べ、
有床診療所一般病床は、実力をもった専門医が外来で診断し、入院冶療の必要な患者
には直ちに入院させて、すぐ冶療に取りかかれるもので、すべての疾患が対応できる
とは思わないが、専門医によりうまく治療のできる疾患が少なくないわけで、専門医
の開設する有床診療所は極めて重い有用性をもっているのである。また、看護師10
名以上又は5名以上という人員をそろえて冶療に当っているにもかかわらず、今回の
医療費改訂で一般病院よりも大幅な人院料の減額を受け、ついに従業員の一部をやめ
てもらわねばならなかった実態を述べ、次第に無床化していく有床診療所に歯止めを
かけるには、有床診療所一般病床の医療法上の基盤をかためてもらって、その上で入
院基本料を上げてもらうというのが、我々の基本的なスタンスである。また、平成6
年の日医での小規模人院施設検討委員会答申の主旨を尊重し、同時に13條の問題に
ついても十分な検討をしてもらいたい。

(大岩委員)

 療養型病床については有床診療所も参入が認められ、さきの小規模入院施設検討委員
会の答申に近い線で決着し、この分については医療法13條の適用外となった。この
点については日医の関係各位に感謝している次第である。しかし一般病床は、急性期
患者のためにとってあるもので、内藤会長の言われたように、看護師をそろえて冶療
を行っていて、それに対して安いながら入院費もついているし、今般医療安全管理体
制、褥瘡対策、院内感染防止対策は、病院と同じ規格で行っているにもかかわらず、
13條で48時間以上入れてはいけないというのは、著しく法の整合性に欠ける。
この際、法整備を行った上で医療安全管理体制、褥瘡対策、院内感染防止対策を実行
する一般病床については、13條は適応されないという厚生労働省当該課長通達を出
してもらえないか。

(田那村委員)

以前、小規模入院施設検討委員会の答申が出された。あれは平成5年から6年のこと
であったが、以後実行はされていない。あれから時代はすすんで来たが、最近の有床診

          一3一

療所連絡協議会総会での日医の発言では、まだあの報告は生きているとのことである。
そこで有床診療所はそれに参入して、つまり有床診療所というカテゴリーから脱却して
13條からのがれよというのか、有床診療所というカテゴリーを残したままで基盤整備
を行うべきか、そのへんを明確にしてもらいたい。

(小林委員)

かって小規模入院施設検討委員会が行われた時、10床以下を除外しようかという話が
出たことがあるが、我々産婦人科では10床以下の所がかなりあり、しかも我国で行わ
れているお産のうち、ほぼ半分近くが我々有床診療所の所で行われているのである。
今後、有床診療所をもしもっと明確なカテゴリーを作って制度化しようとするなら、
10床以下を見捨てるというようなことがないようにしてもらいたい。

(犬尾委員)

 厚労省の有床不用姿勢は変わらず、有床診の入院料は病院のほぼ2分の1まで下げられ、
無床化をたどっている。これに日医はどう対応して来たか、お聞かせ願いたい。
厚労省の施策を横目で見て、云わば何の抵抗もしなかったではないか。例えば全国に
実動の有床診がいくらあるかさえ調査した事さえない。そのような基礎的取り組みも
していないし、有床診の存在・理念・位置付けを厚労省に主張した形跡さえない。
もはや会内で育床を論ずるだけではなく、厚労省に向かうべきものである。日医が本気
に取り組まなければ有診はやがて消滅する。もしそうなれば患者にとって不幸なだけで
なく医学を志した者が卒業しても大組織の一技術員として雇用されるか、はじめから
ベッドの無い診療に甘んじるということになり、医師としての裁量権ないしはステータ
スを著しく損ねたものになりかねない。また医学の教育レベルも高くなくてよいことに
なる。修得した医学を十二分に発揮できる場を準備し、有床診ないしは小規模入院施設
は残さねばならない。

(藤野委員)

 厚生労働省は有床診療所の存続を望んでいないのではないか。今回の診療報酬改訂をみ
ても、大規模病院の引き下げ巾は小さく、有床診療所は大きい。厚生労働省の官僚は、
「医療費で厚労省の考えている政策誘導をする」と公言しているではないか。こうした
考えを覆すには、有床診療所の必要性を十分にアピールする必要がある。整形外科では、
これほど交通が発達し、しかも大病院へのアクセスのよい我国で、な

               一4一

ぜ多くの患者が有床診療所で手術を受けているのかを考えてほしい。患者が自分の
体のことをよく知ってくれた、信頼のできる医師の所に命を託してくれている賜で
はないか。だから有床診療所を廃止に追いこもうとする動きは、何としてでも阻止
しなければならない。有床診療所は療養型でなければ経営が成り立たないでは情け
ない。急性期のための一般病床が存続できる制度を先ず整傭し、せめて療養病床な
みの点数を設定しなければやがて消滅させられてしまう。

(星常任理事)

日医が有床診療所をなくしてよいと考えたこともないし、そういう言動をしたこともない。

(伊藤委員)

 有床診療所の将来を考える上で、各診療科の特性を考慮する必要がある。眼科では
療養型は考えられないし、眼科有床診療所では、大病院とぽぼ対等なレベルの診療
を行っているところもある。また、眼科手術、特に白内障手術の多くは、私的な医療
機関で行われている。また、地方と都会地での地域差は重視すべきだ。特に、雪国、
交通の不便な地域での有床診療所の存在意義は大きい。

(海江田委員)
 
 有床診療所の二一ズは、都会と田舎ではかなり違っていると思う。我々鹿児島では、
有床診療所なしには医療が成り立って行かない程である。都市部でもドーナッ化現象
で、中心部より周辺の団地に住む人が増えており、中心部の病院に入院させてもかな
り家族などが不便なケースが多い。この為ある程度軽症で入院を要する患者さんは、
近くの有床診療所への入院を希望している。

(大道委員長)

 多くの御意見が出たが、これは第1回目であるので、このフリートーキングで間題点
が浮き上がってきたと思う。2回目は、少し間題を絞って考えて行きたいと思う。
有床診療所の調査については、患者のプライバシーに関するようなことは難しいが、
どういうことならできるのか検討を加えてみたい。今後の日程については、12月
1回、1月1回、3月1回の計4回行う予定である。




論説

 今回のプロジェクトチームの眼目は、有床診療所の存続基盤の確立にあります。
その方法としては、もちろん不当に安くおさえられている入院基本料のアップ
をはかり、経営的に安定させることが必要な事は申すまでもありませんが、今
一っ非常に大切なことは、有床診療所の発足当初から医療法13條があって、
陰に陽に絶えずこれが足かせとなって、われわれ有床診療所の存続を脅かす大
きな要因になって来たことを見逃すわけにはいきません。これに対しては、
寝た子を起こすなという言葉に惑わされ、日医は何も手を打ってくれていなか
ったのが実状であります。
 はたして13條は死文でしょうか。現に数年前、
大阪でこれが発動され、非常につらい目にあった有床診療所が、2ケ所あると
聞き及んでいます。また、この13條があった為に、医療費改訂の度に48時
間以上は違法入院のはずだからとして、入院基本料が安くおさえられているの
が事実であります。だのに最近の医療安全管理体制、院内感染防止対策、褥瘡
対策を始め、ほとんどの省令が有床診療所も病院も全く同じレベルでの遵守を
要求しています。また、健康保険法上でも有床診療所の入院料が安いながらき
ちんと認められていることは、著しく法の整合性を欠くことと申さなければな
りません。それらのことを考え、整合性を整える為には、先ず医師1人に看護
師何名といった医療法上の整備をした上で、「医療安全管理体制、院内感染防
止対策、褥瘡対策を実行している病床に対しては、医療法13條の規定は適応
されない」という一文を当該局長発の省令の末尾に追加記載して頂くことを要
求したいと思います。つまり、坪井日医会長から厚生労働省にこの点について
の申し人れをして頂きたいと思うのであります。
 これなら別に予算を伴うこともなく、困った事が起きる可能性もなく、容易に実現
可能なことと思います。
法の整合性を保っためにも、また医療安全管理体制などをもっと徹底させるた
めにも、ぜひ実現させて頂きたいと存じます。
    
                  一6一


  有床診療所に関する検討委員会(プロジェクトチーム)が始まりました。
そこで有床診療所に関する皆様の御意見を募集します。とくに有床診療所
の存続のための将来構想について、皆様の御意見をお寄せ下さい。有用な
御意見は、検討の場に必ず反映するように致します。

送付先一全国有床診療所連絡協議会事務局FAX(092)852−1526












現在   床      住所

うち一般病床  床   お名前

                   一7一

  2002.11.25