「今後の有床診療所のあり方」

1)''病院病床''と''有床診療所病床"は別個の概念で考えるべきではないか。
前回の委員会では、有床診療所の「療養病床」の扱いを巡って活発な意見
交換があったが、『最大でも19床という経営効率の悪い中でも、小規模で
地域密着型の機能を果たしている有床診療所には、"複雑な病床区分''や
''制約"を設けず、急性期から慢性期、終末期まで医療・介護が行える自由
な病床とし、その特性を維持させるべき』という方向では、概ね一致している
ように感じた。折角医療法が改正されたのだから、この時期こ旧来の考え方
を一気に変え、実態に即したものにしたら如何。療養病床の転換問題でも、
厚労省サイドでは''有床診療所のことはも念頭に無かった"と言っているでは
ないか。

2)有床診療所の入院に係る診療報酬は、病院と介護施設の中間程度の
評価を求める。有床診療所の無床化が年ごとに著しい(※13年6月17,460
→18年8月12,898)その原因には、患者の大病院志向、病院と診療所との
医療機能の格差等があるが、中でも、病院と有床診療所との入院基本料の
格差の拡大、介護施設をはるかに下まわる低い入院料が病床の運営を急速
に困難にしているのである。
 本年の診療報酬改定による療養病床の再編計画や長期入院患者への診療
報酬逓減で、さらに厳しい経営状況に追いやられる施設の増加が予想され、
このまま年1,O00床減で推移すれば12年後には有床診療所は消滅する
勘定になる。

3)「有床診療所の活性化を目指す議員連盟」に宛てた説明文書'『有床診療所
の役割と問題点一患者のために有床診療所はどのようなメリットがあるか一」
についてこの一文は、単に''議員"宛に提出しただけのものではなく、我々が
日頃から患者さんや一般の国民に理解してもらいたいことである。
 本委員会の議論がこの方向に向かって進行することを期待し、今後のわが
国の医療提供体制について日医が厚労省と協議する際に是非参考にして
頂きたい。

 急性、慢性を問わず、診療所の外来と大病院の入院機能との間には、病院へ
の入院待機や、在院日数短縮化が進められる現在、病院退院後の後療法を含
めて、有床診療所で対応できる幅広い患者層が現実に存在する。療養病床削減・
再編成、介護病床廃止等、国は入院から在宅へと誘導政策を進めているが、
介護者不在或いは老老介護困難で自宅での生活が現実に不可能な人達が
多数いる。今こそ有床診療所の存在が必要である。
 ただ現状は前述のとおり入院料のあまりにも極端な抑制のため、患者にとって
便利で低負担の病床が支えられず、閉鎖・崩壊に瀕している。この際、これらの
既存の病床・施設に存続可能な対応処置がとられ利用されるなら、むしろ医療費・
介護費用の節約につながるであろう。

美川隆造