平成17年度第5回有床診療所に関する検討委貫会(要旨)

平成17年9月21日
於日本医師会館

出席者  寺岡  揮    日医副会長
       宮崎 秀樹   日医副会長
       三上 裕司   日医常任理事(担当)
       松原 謙二   日医常任理事
       江口 成美   日医総研主任研究員


委員長  大道 久     日本大学医学部教授          眼科
委員   伊藤 信一    青森県有床診療所協議会理事    外科
      大岩 俊夫    福岡県有床診療所協議会会長    外科
     海江田健      鹿児島県有床診療所協議会会長   外科
      小林  高     日本産婦人科医会理事        産婦人科
      徳永 昭夫    愛媛県有床診療所協議会理事    外科
      内藤 哲夫    全国有床診療所連絡協議会会長   外科
      美川 隆造    佐賀県有床診療所協議会会長     内科
      水守 彰一    兵庫県有床診療所協議会会長     外科
      森    康    日本臨床整形外科医会有床診療所部会長  整形外科
      矢崎 敏夫    全国有床診療所連絡協議会常任理事   外科

(大道委員長)
今回が本年度、最終回の有床診療所に関する検討委員会となる。委員全員がおそろいに
なっているので開始する。
(宮崎副会長)
お忙しいところ、全員お集まり下さり有り難うございます。総選挙の結果、自民党が圧

勝した。日医としては、今後も様々な審議会などを通して、今までの主張
を通して行く。
(寺岡副会長)
情勢の全般的なことは、今宮崎副会長の言われた通りである。今日は
当委員会の最終回になる。答申書にっいても最終議論になるので、
これまでの皆様のご意見が凝縮されたものになるように宜しくお願い
したい。
(三上常任理事)
しばらくぶりに社会保障審議会医療部会が再開された。10月5日には・
有床診療所のヒアリングを入れて行きたいと言っているので、その対策に
ついても議論をしていただきたい。また、有床診療所側の人も呼ぶと言って
いるので、多分内藤先生に出席してもらうことになろう。診療報酬にっいて
は財源のこともあり、今の情勢では一律に200点アップということは通り
そうにないと思う。
(大道委員長)
それではこの前からの流れがあるので、有床診療所に関する検討委員会
のまとめ案にっいて前回のものに修正を加えて出したのが資料0503である。
これについて議論して頂く。これには添付資料として、今回行った実態調査
のデータを付ける。昨年来の議論であるので、それをまとめたものだ。
アンダーラインの所が今回の改良点である。(その部分を読む)かなり踏み
込んで書いたっもりである。この方向で集約するにせよ、今までの議論の
経過を書いてもよかったのだが。今期の所は、制度上のことが主であるので、
13条の撒廃を主体とした議論として、基本的な路線を明確にしたものである。
(森委員)
2ぺ一ジ目のこのことによりは、何を指すのか。
(大道委員長)
誤解を防ぐように、もっと明確なものに書き換える。
一11一

(小林委員)
この文では9床から下は基準α下でよいという話になる。10床以上と書か
れるとそう取られる。すると9床から下は、48時間規制は残るという議論
になりはしないか。そんなことにはなってほしくない。
(三上常任理事)
その辺は厚労省との仲立ちをする立場になると難しい。
(内藤委員)
すべての有床診療所で48時間規制は撤廃しようと言うのであって、9床α下
はそのままなどということは今まで議論したこともない。
(大岩委員)
9床以下の所と、10床以上の所の差は施設基準の差が主たるものである。
しかし我々は今度の医療法改正では、ベッド数にかかわりなく病院と同じ施設
基準にしてよいと言っているのである。勿論、現在使用中のものは経過措置と
して認めてもらって、新しく建て替える時は新基準にするということであるが、
そうしないと9床以下の所を差別することは、またまたいやな足かせが残って
よくない。
(三上常任理事)
その様に言ってもらえばスッキリして交渉がし易い。
(伊藤委員)
褥瘡対策など、全科に関係しないような綱は掛けてほしくない。各科はそれぞれ
に応じた努力をしている。また、病床がカウントされるようであれば、48時間規制
撤廃の条件とならないことに配慮したほうがよい。
(三上常任理事)
医療安全対策とか褥瘡対策などは、現在しない所は減算となっているが、減算という
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とは良くないので止める方向に努カしている。
(森委員)
厚労省とは交渉ごとであるから、合意が得られないとか、48時間の規制撤廃
に対して何か交換条件を持ち出されるということはあるだろうか。
(三上常任理事)
ある程度、事前協議をしているので予想できない様なことを持ち出されることは
ない思う。ただ、48時間親制を取り去るなら基準病床に入れると言われる可能性
があり、その反論は難しい。いよいよになるとカウントされてもよいか。
(内藤委員)
カウントされるとなると、オーバーベッドの所では参入して来ては困るということにる。
我々としては、新規開業を閉め出すことはできない。
(大岩委員)
医療法13条と地域医療計画の基準病床とでは重みが違う。医療法は法律だから
議会を通さないことには改正できない。片や基準病床などは、政・省令のたぐいで
ある。それに地域医療計画は廃止の方向ではないか、だからどうしても抱き合せと
言われれば、仕方ありません、はいどうぞと言えばよい。
(三上常任理事)
地域医療計画は都道府県に残すと言っている。基準病床に入って困ることといえば
新規開業できにくいことであるが、これに対する方策はいると患う。
(大道委貫長)
医療法13条と基準病床とでは、法としての重要さが違うということだろう。それは
その通りである。次に小林先生から出された資料にっいて審議する。小林先生どうぞ。
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(小林委員)
4月のメディファクスに4類型化の話が出て、産婦人科医会でも議論が出た。
その結果は、資料0504の通りである。日本産婦人科医会で検討を重ね、
産婦人科有床診療所のあり方としては、こういう方針で行こうということを
決定した。Aでは、産科と婦人科を分けること、又は類型化をすることは
適当でない。産婦人科は1っである。Bの3は、産婦人科には医療事故が
多いことは充分認識していて、そのためとりわけ慎重な安全対策をとると
いうことである。その他にっいては、有床診療所協議会の方針と特別変った
ことはない。
(大道委員長)
出産は病院で、検診は診療所でという方針が進められている様に聞くが。
(小林委員)
一部でそういう方針が進められていることは事実である。
(水守委員)
分娩数の有床診での比率が増加傾向にあるのは事実と思うが、実数は
どうか。平成16年度のものは出ていないのか。
(大道委員長)
人口動態調査などで分娩実数の分かっているのは、平成14年までと思う。
実数は減っても病院での取扱い数が減っているので、有床診の比率が上
っているのだろう。最近1〜2年で医師の分布が非常に変ってきているので、
直近のデータは必要である。
(小林委員)
施設基準にっいて、産婦人科はベッド数が少ない所が多いが、それでも
1ベッド当り6.4uは守るようにしたい。但し、出産すれば2倍の床面積と
いうのは妥当ではない。やはり新生児は母親の附属として6.4u討でお
願いしたい。
一14一

(宮崎副会長)
内診の問題があるが。
(小林委員)
助産師は、実態調査でも1施設当り1,7名であるという結果が出ている。
これで24時間ハリ着くことは無理だ。また、生まれた子供の数まで入れ
ると看護師の数が足りないとうことが出るo
(大道委員長)
0504資料では、Bの3だけが新しい切り口である。しかし、これをまとめ
に入れることは難しい。しかし、交渉の場ではこれを活用したい。このような
所でよろしいか。それでは形を整えて出す。
(内藤委員)
一応、これで答申はまとまったようだが、医療法改正に向けて厚労省との
折衝はこれらであるし、これから決着するにしても来年にも及ぶだろう。
それを考えれば当委員が継続することを望む。以前これが出来た時、
坪井会長は1年間ぐらいはプロジェクトチ一ムで我慢してもらって、次から
委員会にすると言われた。私達はそれを望んでいる。また、御苦労かけて
いる委員長や日医の方々に、良い結果がでた時には御礼の会もしたい。

平成17年11月
日本医師会長植松冶雄殿
有床診療所に関する検討委員会
委員長大道久



平成17年度有床診療所に関する検討委員会報告書
 
 本委員会は、平成16年9月1日に開催された第1回委員会において、
貴職より「有床診療所の今後の在り方について」検討するよう諮間を受け、
平成17年9月21日まで10回にわたり議論を重ねてまいりました。
ここに、これまでの本委員会の審議結果を取りまとめましたので、ご報告
申し上げます。
 なお、本委員会の議論の基礎的な資料とすることを目的とし、全国有床
診療所連絡協議会会員を対象とした有床診療所実態調査を行いましたので、
その結果を報告書に添付いたします。

1.有床診療所の現況とその背景
 昭和40年代まで2万9千施設・約30万床の水準を保ってきた有床診療所
は、昭和50年代後半に入ると減少傾向を示すようになり、平成9年に2万施設、
14年には1万6千施設・20万床弱に落ち込む事態となっている。このような事態
となった最大の要因は、入院医療に対する診療報酬が著しく低いことによるもの
である。
 一方、医療法には当初から有床診療所への患者の収容を48時間以内とする
規制がある。実情に沿わない同規制にっいては繰り返し撤廃を求めてきたところ
であるが、未だに実現’していない。平成9年の医療法改正で診療所療養型病床
群の導入が行われ、療養型病床群にっいてはこの規制が除かれた。
また、平成16年の厚労省医政局総務課長通知により、運用上は医学的に必要な
期間の入院は認められたが、法制上は従来のままの状況に
一16一

ある。有床診療所は、高齢者の療養の受け入れから比較的高度な手術を
実施するなど、地域の二一ズに応じた柔軟な医療を提供している。いずれの
診療頒域においても、自らの専門頒域の医療を、対応可能な範囲で他施設と
連携しながら提供することで住民の信頼を得ており、地域によっては病院に
代って医療の確保のために必須の役割を担っている。特に、分娩数の半数
近くは有床診療所で行われており、分娩全体に占める割合は毎年増加傾向
にある。わが国の医療施設の源流とも言うべき有床診療所は、次世代の医師
の診療活動の場としても必要であり、是非とも存続きせるべきである。
 なお、有床診療所の運営の現状、財務の状況、提供している医療等にっいて、
全国有床診療所連絡協議会会員を対象に有床診療所実態調査を実施した。
その結果、多岐にわたる入院患者に対して多様性のある医療サービスが提供
されているものの、厳しい財務状況が続いているために今後は無床化の方向で
対応することを考えている施設が多いことが明らかとなっている。その概要を巻末
に添付したが、本調査の結果は有床診療所の現況をより正確に反映したもの
として今後の検討に活用されるべきである。

2.今後の有床診療所のあり方
 有床診療所の果たして来た地域医療における役割と、住民に身近なところで
二一ズに応じた柔軟な医療を提供できるという特質は、今後とも制度的な存続を
図るべきである。そのためには、何よりも正当な診療報酬による評価が必要であり、
看護要員等の人員配置に応じた病院に相当する入院基本料の保証が強く求め
られる。
医師の配置にっいては、有床診療所は基本的に1人医師による自由裁量の適切
な発揮によってその役割を全うするという従来からの考え方は、制度的に維持される
べきである。医療機能に応じて医師・看護師等が必要な場合には、診療報酬上の
施設基準によって対応されるべきである。ただし、医療安全の確保や24時間体制
の確保のために、連携する近隣の医療機関の協力医を確保することを要件と
する必要性は認められる。入院にっいての48時間規制は、これまでの経緯と現状を
踏まえれば既に形骸化しており、法制的に撤廃されるべきである。また、この規制の
撤廃により有床診療所病床を医
一17一

療計画上の基準病床数として算定することは、医師の新たな地域医療活動
への参入を阻害するものであり認めることはできない。そして、この規制撤廃に
伴って新たに医師・看護師等の配置を要件とすることにっいても、地域における
従来からの医療の継続を不可能とするものであり容認できない。
すでに10床以上の有床診療所には病院と同じ構造設備基準が適用されており、
医療安全管理についても診療報酬により実質的に病院と同等の義務が課せら
れている。
 有床診療所の機能を類型化して法制化することにっいても検討したが、既に
有床診療所療養病床が機能しており、これ以上の制度的区分は適当ではない。
また、以前議論された小親模入院施設など、全く新たな施設体系を導入することは、
既存の有床診療所や小規模病院との調整が容易でないことから、これも行うべき
ではない。
 有床診療所が急速に減少していることは、医療における貴重な資源を活用しない
まま放置しているに等しく、これまで果たしてきた地域医療における貢献や住民から
の評価を十分に受け止めて、その存続に向けた適切な対応が取られることを強く
求めたい。


有床診療所実態調査報告について

 大変遅くなりましたが、有床診療所実態調査の概要がまとまりましたので、ご報告
申し上げます。(青色冊子)
 現在、診療報酬改定に向けての議論が活発に行われておりますが、その内容は
有床診療所にとって厳しいものであります。今回お届けした報告書の中には財務
状況も掲載しておりますので、数字のみが一人歩きすることのないよう、お取り扱い
には十分気をっけて頂きますよう、お願い申し上げます。
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救急処置一ロメモ

 これから正月にかけて、老人が餅を気管に詰まらせる事故がよく起ります。
餅はつかみ出そうとしても、なかなか取れるものではなく、強力な吸引器で吸い
出して成功することもありますが、グズグズしていると死に至ります。
一番手技がやさしくて、誰にでも出来ることは、気管穿刺法であります。この穿刺針
はデイスポでメス付のセットになっていて、注射器メーカーのトップから発売されて
おります。(商品名トラヘルパー)10Fr.のサイズのものを用意しておくとよろしい
でしょう。10セット入で24,000円です。頚部の正中線上の甲状軟骨の下で、皮膚
をメスで一寸切ればすぐ下は気管ですから簡単に刺すことができます。穿刺針は
小さいようですが、これで充分酸素を送ることができ、口でふいて人工呼吸してもよく、
レサッシバッグに繋ぐことも・麻酔器に繋ぐこともできます。(使用説明書はトップに請求
されれば、すぐにFAXで送ってくれます)この様にして呼吸を恢復させておいて、
後は落着いて吸引器などで異物を取るとよろしいでしょう。また、この針から細い
サクションチューブを入れて喀褒吸引もできますので、よく吸引してから技去して下さい。
技去後はガーゼを当てて置くだけですぐふさがります。この手技は、注射や薬剤の
ショックで声門浮腫が起り、呼吸困難になった時にも有効です。こんな時は気管内
挿管が困難なものですが、この手技が役立ちます。是非、外来・病棟・往診カバンの
中にも常備しておいて下さい。(文責大岩)

「トラヘルパー構造図」