祝辞
日本医師会会長植松治雄第18回全国有床診療所連絡協議会総会が
開催されるにあたり、日本医師会を代表して一言お祝いのご挨拶を申し
上げます。ご承知のように、我が国の混沌とした政冶状況や経済状況
の中で、また、国家財政の逼迫した状況の中で、財政至上主義的改革
や米国型社会を目指した経済政策等の影響を受けて、社会保障制度、
なかんずく医療を巡る状況も誠に厳しいものとなっております。いわゆる
中医協問題は、「中医協の在り方に関する有識者会議」の報告書が出
され、同時に厚生労働大臣の談話で一応の決着を見ておりますが、
なお、規制改革・民間開放推進会議がどのような対応をするかという問題
も残されています。また、平成18年度の医療制度改革と来年度予算が
これから検討されますので、医療保険の実質的な縮小や診療報酬が
マイナス改定にならないよう、十分注意し、かっ誤りのない対応をして
いくよう努力する所存であります。いま、医療安全をキーワードとした
医療提供体制の改革について、社会保障審議会医療部会で議論が
なされておりますが、重要な論点として有床診療所についても議論され
ております。我が国の医療文化の原点ともいうべき地域に密着した入院
施設である有床診療所の活性化を図るために、日本医師会に「有床
診療所に関する検討委員会」を設置して、ご議論をしていただいており
ますので、この委員会の意見や皆様方の意見も十分尊重して、医療
提供体制の改革を進めて行く所存であります。本総会は、「はばたけ
有床診療所」をメインテーマに有床診療所の直面する課題や問題点等
にっいて、分科会方式で開催するとのことであり、その成果を期待して
いるところであります。おわりに、全国有床診療所連絡協議会のます
ますのご発展と皆様方のご健勝、ご活躍を祈念いたしまして、お祝いの
ご挨拶といたします。
一7一
日本医師会会長植松治雄殿
平成17年7月30日
全国有床診療所連絡協議会会長内藤哲夫
要望書
有床診療所は、一人の医師の責任のもとに地域に密着した医療を担って、
長い間わが国の中核的医療単位として機能して来た。病者にとって、その
距離的、心理的アクセスの良さと費用対効果の良さは何物にも代え難い
ものであり、社会全体のためにも医療提供体制の中でも重要な役割を
果たしてる。それにも拘らず、経済的要因に基づく診療所病床の閉鎖、
激減は止まる処を知らない。この現況を日医及び厚生労働省が充分認識し、
現状打開のために、強力な対策を早急に講じることを強く求めるものである。
なお・本年度総会にあたっては下記の事項を特に要望する。
1.次期医療法改正にあたり、今や死文化した医療法13条の撤廃を行うこと。
また、有床診療所の医療法上での位置づけを、明確に行うこと。
2.次回診療報酬改訂に際し、下記の各項を要望する。
1)長期に亘って、低く放置されている有床診療所の一般入院基本料を引き
上げること。また、療養病床にっいては、構造設備・人員配置ともに病院と
ほぼ同一基準であるにも拘わらず・病院より大幅に低く設定されている診療所
療養病床人院基本料の是正を行うこと。
2)既に診療報酬上に導入されている、I群有床診療所入院基本料1に係る
加算点数の引き上げを行うとともに、看護配置に拘わらず、複数医師が勤務
する場合にはそれに見合う加算を行うこと。
3)有床診療所一般病床入院基本料の算定基準における『I群入院基本料2』
の看護配置5人以上(現行)を、『I群入院基本料2−1』7人以上・
『I群入院基本料2−2』4人以上と変更し・『I群入院基本料2』にも看護師配置
加算を行うこと。
4)入院期間に応じた加算の現行7日以内を、14日以内と是正すること。
5)看謹補助者加算を、診療所にも導入すること。
6)療養病床入院患者他医療機関受診時の入院基本料減算を撤廃すること。
7)診療所ターミナルケア加算の新設を行うこと。
※全国有床診療所連絡協議会では、近年の医療環境に鑑み、既に有床診
医療安全推進委員会を立ち上げ、同委員会による『有床診療所医療安全評価票』
も作成され、更なる医療安全の推進を、全会員に徹底させることを決定している。
一8一
第1分科会有床診療所のあり方と医療法座長は、広島県医師会有床診療所
部会役員の村上弓夫・山代浩人両先生が受け持って行われた。医療法の
改定を目前に控え、有床診療所はどうあるべきかを問う分科会でもあった。
フロアーからは、医療法13条の撤廃の声が最も多く聞かれた。一方、1人
医師での有床診療所は堅持すべきであるとする声、また入院基本料を引き
上げてもらわないとどうにもならない。そのためには、機能類型化はやむを
得ないという意見も聞かれた。それに対してコメンテーターの大岩有診広報
担当理事は・医療法13条を改定し・有床診療所の地位を確立すること、
そうしないと若い医師達が参入して来ない。そのためには4類型化を認め
、細部をっめて医療法の改定を行う。また1人医師の有床診療所を堅持する
には、医療安全対策は必至である。全国有床診療所連絡協議会の中に医療
安全推進委員会を設置したと述べた。2番目のコメンテーターの安部有診常任
理事は、メディファクスの4類型化は不明瞭なところが多くていぶかしい。
どちらかと言えば、医療法に盛り込むことには消極的な発言をした。
次で、三上日医常任理事は、医療法をいじるとこれが足かせになって身動き
がとれなくなる。従って、医療法で決めることはこの際見送って、保険の上
だけで点数改定の交渉をすればよいと述べた。最後に、有診に関する検討
委員会の大道委員長は、高機能型とは病院と同じになるということではない
だろう。類型化に対する有床診療所側の意見は揺れ動いていて、充分定まっ
てはいない。日医の有床診療所に関する検討委員会は、あと残すところ2回
であるから、それまでには必ず意見をまとめて答申すると結論した。
第2分科会診療報酬関連
座長を広島県有床診療所部会役員の徳永彰・古川義紀両先生が務め、
コメンテーターとして、日医常任理事の松原謙二、全国有床診常任理事の
海江田健、有診に関する検討委員の伊藤信一の3名の先生方が出席して
行われた。テーマは、
@入院基本料の適正価格にっいて、
A2人以上医師の加算にっいて、
B療養病床の他医療機関受診減算にっいての三っに分けて討論された。
まず、フロアから千葉県医師会や名古屋市医師会から、病院とかなり差の
ある入院基本料の200点以上の引き上げ、入院後7日以内認められている
初期加算の日数を、病院と同様の14日まで伸ばす、看護補助者加算を
認めるなどの要望が出された。之に対し日医の松原常任理事は、「最低
200点を何とか加算したい」と述べ、入院基本料への一律200点以上の
上乗せを中医協で働きかけることを約束した。
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さらに入院基本料に200点が上乗せされると19床満床で年間約1400万
の増収になり、今後も医師1人で運営できる枠組みは維持しっっも、医師2人
で診療する場合などに備え、少なくとも人件費程度はまかなえる報酬額に
する必要があると述べた。
Aについては、有診はあくまでも1人の医師で診療するのが原則であるが
、アンケート結果でも常勤医2人以上という施設が約30%あり、現行の40
点では月額23万程度しかならず、之も200点っけてほしい、
またケアミックスの施設が増えているので看護師10人以上とするI群のT
だけでなく、5人以上のI群の2でも医師が2人おれば100点でもっけてほしい
という意見も出た。
Bについては、この問題は有診のみのことではなく、療養型・老健・特養全て
に関わることであり、日医とともに厚労省へ働きかけるべきだとする意見、
専門科が異なるのに、この減算には何の根拠も無い。当然廃止すべきだと
する意見などが出た。
第3分科会療養型病床関連
広島県医師会有床診療所部会役員の大倉美知男・藤谷薫両先生の座長に
よる進行で、コメンテーターは、日医常任理事で介護保険担当の野中博先生、
全国有床診側からは實藤政理・水守彰一両先生で行われた。
発言者は、名古屋市の柵木充明・岡山県の井戸俊夫・高知県の寺田茂雄・
福岡県の八田喜弘の各先生であった。それぞれ各地における有床診療所の
療養病床の実態が報告された。その中で特に小規模多機能施設という考え方
を視野に入れた話が出たが、小規模多機能施設の定義あるいは意味が未だ
ハッキリしない状況であるので様子を見るしかないと思われた。更にもう一っの
問題点は、新規開業した有床診療所がほとんどの所で療養型に入れないという
ことである。従って、有床診療所の療養病床は病院とは別枠を作っていただく
必要がある。次に医療・介護型施設においては、食事コスト・ホテルコストの導入
による患者負担の増大の結果、有床診療所のみならず、病院にとっても急激に
ダウンすることになった。日医の野中常任理事は、精一杯反対した。もし出来る
なら、皆様が集って不満をぶっけてはどうか、そうすれば国あるいは介護給付
委員会が動くだろう。全く残念であると言われた。
一10一
講演I
「診療報酬体系の見直しと平成16年診療報酬改定」(要旨)
厚生労働省保険局医療課長麦谷眞里
平成18年度の診療報酬の改定に全力を挙げて取り組んでいるところで
ある。どういことを重点にして改定するかと言うと、平成16年度の診療報酬
改定でやり残したこと、手をっけられなかったことを重点的に今回はやれるか
どうかを検討する。その主たるものは、
・慢性期入院医療の患者特性に応じた
包括評価
・入院時食事療養費の評価
・ドクターフィー、ホスピタルフィーへの再編
・老人診療報酬体系のあり方などがある。これらのことを見直し重点とする。
しかし、財源に限りがあるため、一方を引き上げるためには別のところで引き
下げに応じてもらわねばならず、結構大変な仕事である。
講演U
「有床診療所の今後と平成18年医療制度改革」(要旨)
日本医師会常任理事三上裕司
平成18年度に行われる医療制度改革に向けて、厚労省では杜会保障審議会
医療部会を開き、意見聴取を行っている。その会に日本医師会からは、土屋常任
理事と三上常旧事が委員として参画している。そのうち第8回医療部会が
平成17年4月13日に開催され、有床診療所に関する審議が行われた。
その時の発言は、・実際の在院日数が長いにも関わらず基準病床数の対象から
外れていることは、[
一11一
民から見てわからない。
・入院施設は全て病院として扱い、診療報酬もつけるべきである。
・有診と病院との施設基準だけで判断するのではなく、日本の医療の
原点を見据えて議論してほしい。
・有診は、安い費用で日本の医療を支えている。有診は、日本の医療
において今後も重要であるという観点から議論してほしい。
・基準病床数への算定や施設基準の強化をすべきである。などの議論が出た。
一方、一部の委員より施設基準が緩やかなため、医療安全上問題視する
などの発言があった。次いで、第13回医療部会が平成17年6月17日に
行われ、また有床診療所に関する話題が出た。そこでは有床診療所がこれ
まで日本の医療に果たして来た役割や、今後の存在意義にっいては概ね
理解を得た。一方、48時間規制の撤廃には異論はないものの、これと同時
に基準病床数への算定や施設基準の強化を求める発言がみられた。
平成17年6月29日の第14回医療部会では、中間とりまとめ案が提出された。
日医としては「有床診療所に関する検討委員会」(委員長大道久教授)を設置し
、検討を加えているところである。日医の基本的な考えとしては、
1)48時間の問題は既に有名無実化しており、撤廃すべきである。
2)人員配置・構造設傭基準は、医療法上では現行通りにして手厚い人員配置
に対しては診療報酬によって評価すべきである。
3)有床診療所の将来展望については、専門の医師による診断と手術など、
かかりつけ医型で日常の診療と在宅療養を支援する身近な入院施設。
などが考えられ、これらを医療法の上では区分せず、診療報酬によって評価する。
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特別講演
「医療制度改革と医師会」(要旨)
日本医師会会長植松治雄
昨年の北海道の総会に引き続き、本年もお招きいただき有難うございます。
先ほどの三上常任理事の話に続き・似たような話になるかも知れないが、
更に上のレベルの話として日医の考えていることはどういうことか、国民の
ためになる医療改革とはどういうことか、混合診療、株式会社参入の問題
などを述べる。今まで一番戦ってきたことは、混合診療全面解禁の阻止と
中医協の問題があった。小泉改革とは、国民の健康さえも聖域としないと
いうことで、自由型弱肉強食の世界である。経済原理が最優先すると言う
ものである。しかし、国民の健康は市場経済には馴染まないものである。
内閣の総合規制改革会議の力が強大になり、厚労省や我々も頭が痛い
のはここから来ている。我々は国民医療推進会議を立ち上げ、混合診療
の悪さ、怪しさにっいて訴え、600万を超える署名を得た。その結果、両院
満場一致で採択していただき、結果は非常に大きいものがあった。
未収採な薬についても必要なものは保険に収採してもらえばよい。総合規制
改革会議には不満がある。医療費総額の伸びを抑える。健保でできる範囲
を締めようとするからである。そして隙あらば私的保険を導入しようとする
からである。丁度いま郵政民営化の法案が参議院にかかっていて否決され
るか、可決されるか際どいところである。郵政そのものには我々直接の関係
がないが、郵政が可決されれば、次は医療の方にかかって来るだろう。
そういう意味で否決されることを望む。今や医療の安全は最重要なキーワード
になっていて、我々は真剣に取り組んでいるのであるが、医療の安全には
コストがかかることを知っていただきたい。
13ー
平成17年度
全国有床診療所連絡協議会常任理事会開催
第2回常任理事会5月29日横浜市老健施設あすなろ
第3回常任理事会7月18日束京大丸デパート・ルビーホール
第4回常任理事会7月30日広島リーガロイヤルホテル
平成18年度の医療法改定が近づくにっれ、日医の有床診療所に関する
検討委員会も頻繁に行われ、答申書作成の日が逼迫してきたため、それ
に対応するために頻回に行われた。従って、議題は、新聞やメディファクス
に載った内容も含めて、医療法改定に我々はどのように対応して行くべきか
ということが大部分であった。また、厚労省の意向も少しづっ明かになって
きて、必ずしも1人の医師ではダメだというのではなく、医療安全に対する
方策を十分取ればよいということも分かり、急遽、全国有床診療所連絡協議会
の中に医療安全推進委員会を発足させることも決められた。また、機能類型化
も一度は否定したものの、4類型化のことがメディファクスに載ったことにより
再浮上してきたので、これも一つのたたき台として、前向きに検討することが
決められた。
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