ゆうしん
9月のお知らせ 神奈川県有床診療所協議会会報
平成16年9月1日 発信 第1号
7月31日及び8月1日に北海道札幌市に於いて第17回全国有床診療所
連絡協議会総会が行われましたが、今年の大会には新しく日本医師会会長
に就任された植松治雄氏及び3人の副会長、4人の常任理事が来賓として
出席され、日本医師会代議員会議長の内藤会長がお迎えするという顔ぶれ
でしたから、大変有意義な大会だったと言えます。T日目の会議は滞りなく
行われ、2日目には、「どこまでやれるか有床診療所」と題してシンポジュウム
があり、整形外科の八木知徳氏が膝LCS人工関節の治療について、産婦人科
の浅石和昭氏が乳がんを中心に積極的な医療を展開している現状について
報告され、内科の馬原文彦氏はご自分の業績である日本紅斑熱の発見に
ついて説明されました。コメンテイターとして内科の長瀬清氏は、時代の変遷
による有床診療所の未来は不確実ではあるがその有用性を認め育てなければ
ならないと述べました。
有床診療所(以下ゆうしんと記載)の今後を考えると、外科側では救急又は
特別な専門医療(故加藤雅光氏が0次の医療と表現した)ならば現在の診療
報酬体系でも生き残れますが、内科側ではある種の終末医療やがん治療を
除けば、療養型をとるしか道はないのです。今論議されているように医療の
療養型が廃止されると終末医療も定額性の介護保険だけではやりにくくな
ります。急性期の内科疾患は一部はゆうしんでも対応出来ますが、今の
基本料では不採算であり、労力の大きさを考えると受け入れることが困難に
なって居ます。然し、長いお付き合いのかかりつけの患者さんに対応する為に
1.2床は一般病床を残さない訳にはいきません。今回は詳細を省きますが、
35年も付き合って来たゆうしんは医師としての充実感を与えて呉れます。
経営者は苦労しますが患者さんは喜んでいるのですから存続の価値は
十分あると思います。
過日の北海道ゆうしん大会に於いては、日医会長の植松氏も副会長の宮崎氏
もゆうしんについて何も語ってくれなかったので、ゆうしんは十分理解されていな
いと感じました。従って、ゆうしんが存続する為にはゆうしんの専門医療としての
価値やアクセスのよさを地域社会にわかるように説明しなければならないのです
が、現在の医療の仕組みはあまりにも煩雑で説明しようがないほどです。病院の
仕組みも同様にわかりにくく、医師でさえ説明できない程ですから、もう少しわかり
やすくしなければいけないのです。この苦労を考えれば誰でもベットをやめたくな
ります。然し、個人医として社会に貢献する最善の診療形態と考えるとやめるわけ
にはいきません。日医がたよりなければ国民に理解を求めるしかないのです。
ゆうしん通信を充実させていずれ社会に向かって発信したいと考えています。
病気が様々あるように医師も様々な専門を目指し、考えも分かれて来ます。営業の
仕方となると、更に個性的となり、工夫が認められます。
有床診療所の会員諸兄が営業について語って下されば、とても面白く為になるお
話があろうかと思いましたので、行政への不満はさておき、お互いの放談の場所
として、「月報ゆうしん」を発信することにしました。いずれ皆さんが習熟されたら、
メールを利用したいと思いますが、暫くはファックス通信と致しますが、ご意見を
お聞かせ下さい。
1. 専門科目と有床診療所(以下ゆうしんと記載)を開設した経緯と内容
2. 一番苦労したこと
3. 一番嬉しかったこと
4. 失敗したこと
5. 今の考え
6. 国の医政に対して思うこと
7. 日医に対して思うこと
8. これからの経営について
9. 医療そのものに対するご意見
大変不躾なお願いですが年長者の顔に免じてご容赦下さる様お願い申し上げます。
尚、お答えがいただけるかどうか折り返しFAXにてご即答くださるようお願い申し
上げます。勿論守秘の扱いと致します。
平成16年9月1日
神奈川県有床診療所協議会会長 小笹慶資
皆様にお願いして私から言わないのは失礼なので私から答えます。
多少端折ってありますが悪しからず。
1.専門科目―内・循・消・リハ
昭和32年開業、41年中区末吉町にて18床診療所を開設し、63年に長男に譲り、
栄区笠間(出生地)にはじめ6床、平成6年改築し19床となる。平成6年までは
急性期も扱っていましたが、その後療養型に移行し、平成12年介護保険がスタート
すると共に、一般1、医療療養型10、介護療養型8床に変更し現在に至っています。
診療所3の1の許可、訪問看護、居宅療養管理指導、短期入所療養介護、介護療養
型医療施設の指定を受けていましたが、昨年始めて医療法人となり、居宅介護支援
事業の指定を受け現在に至っています。医師会の訪問看護事業が当院の道をはば
んだので、療養型入院希望者で当院にフィットする病状の方を見い出すためには専門
のケアマネージャーが必要だからです。この部分はお知りになりたい方が多いと
思いますが……
2.一番苦労したこと
苦労と言えば、看護師の仲間割れ
3.一番嬉しかったこと
嬉しかったことは、優秀なスタッフが揃った時でしょうか。
4.失敗したこと
大失敗はバブルの時買った株や証券でしょうか。
5.今の考え
昭和54年より特養カトレアホーム、平成12年より松林ケアセンター、15年より旭ケ丘
ケアサービスセンターを経営し、今の介護保険の様々な欠陥に気付いています。
棄老を促進し家族の絆を引き剥がしていること、地域で囲い込む為、次第に不公平
が目立っており、制度そのものが窮屈です。予想どおり株式会社が利益追求を
はじめた気配がありこれからが問題です。
6.国の医政に対して思うこと
介護保険と同様に医療にも国は株式会社の参入を認めようとしていますが、もともと
自由経済の中で健康保険法と言う強い束縛が許され成り立っているのは、医師の
知性と忍耐により維持されているのでありもっともひどいのは、製造物である薬剤に
人為的な薬価をつくり高い値段をつけて憚らないことです。薬の開発の競争をするの
ではなく、薬価の高値安定をはかるために政治的手段を使ったり、天下りを求めたり
と言う図式が問題なのです。
既に多くの医師は薬による利益を放棄しており、薬こそ先に自由経済に戻すべきです。
それなくして株式会社の参入などもっての外なのです。メーカー1人勝ちにしてみんな
でぶらさがるというのは汚職のひとつではないでしょうか。コーポレートガバナンスと
いう言葉がはやっていますが企業統治はできても所詮目的は利益追求であり、
公益法人とは水と油なのです。
7.日医に対して思うこと
北海道の大会に於いて、植松会長と桜井副会長の講演の中からは特別新鮮なご意見
はなかったので、会長に当選すれば政権政党を支持するしかない日医の歯がゆさを
しめしており、現在の政権がまぎれも無く特定宗教団体に政策を左右される姿をどう
考えるのかなどには触れられていませんでした。医療費の削減ばかりをはかり、医療
機関を資本家の支配に任せるなど、我慢の限界であり、まじめに営々として制度に
従ってきた医療機関の志を無にしてはならないのです。
8.これからの運営について
これからは、予防的医療や健康増進医療が中心になりますが、これは従来から実行
してきたことであり、次なる方策を考えております。
9.医療そのものに対するご意見
なおすよりならないようにするのが医師の勤めと考え実践してきましたが、遺伝子治療
や再生医療の進歩の有り様をみるととてもついていけないので、今後はターミナル医療
にかかわりながらわが身の結末をつけたいと考えています。どんなに医療が進歩しても
死ななくなるわけではないので、ターミナルは鉄筋に詰め込まれるのは望ましくなく、
自然にあふれた豊かな農村がよいなどと思い、計画を練っております。それにつけても、
介護保険が医療保険に平行してつくられたために、今になって使い勝手の悪さが目立っ
てきました。例えば医療の療養型と介護の療養型はバッテングをおこしています。同じ
病状の者を2つの処遇に分けるのは不自然です。今更やり直すことは出来ないのでしょう
がもともと医療の中の看護の一環である介護を医療から引き離したことが問題であり、
医師会が黙って見過ごしたのも理解し難いことでした。民生にかかわる部分まで保険
するのも適切でないような気がします。福祉の傘の下に医療と民生があり、医療の中の
看護と民生の中の養護を今の介護保険で果たしてうまく橋渡しできるのでしょうか。
小笹慶資記
<追記>
御答信は暫くの間045−895−2232 にお願い致します。
2004.9.2