神奈川有診ニュース発刊に際して
    平成16年7月7日

 昭和61年7月16日福岡市医師会有志の話し合いで始まった有床診療所
協議会は、同年11月5日福岡市に於いて始めて結成され、昭和62年6月6日
横浜有床診療所連絡協議会創立総会の結成に発展し、昭和63年2月6日神
奈川県医師会館に於いて、神奈川県有床診療所連絡協議会主催の下に
全国有床診療所連絡協議会の結成大会が全国の有志を集めて盛大に開催
されました。
 神奈川県有床診療所協議会は、横浜市外科医会会長であった加藤雅光氏
を会長、門脇秀夫氏と吉田順氏を副会長、始めから福岡と連絡をとりながら結
成に導いた当時横浜市外科医会副会長であった内藤哲夫氏(現当会名誉会長、
横浜市医師会長、現全国有床診療所連絡協議会会長、日本医師会代議員会
議長)を専務理事、二宮新次郎氏と小笹慶資氏を監事として出発したのでした。
 昭和63年8月28.29日第1回全国大会を福岡に於いて開催し、以後毎年各県
を巡って開催され、次第に会員数を増し、現在は4500名を超えております。
今回は北海道札幌市に於いて第17回大会が、7月31、8月1日に開催されますが、
これまでに、福岡、滋賀、山口、福島、石川、佐賀、徳島、沖縄、福岡(10周年
記念)、宮城、神奈川(横浜。平成9年(1997)8月8.9日)、愛媛、岩手、長崎、
和歌山、の各県庁所在地で開催されました。こうした組織固めを行いながら、
医療法13条の撤廃と、入院基本料の病院並見直しを中心に日本医師会への
要望書を出し続けていたのですが、つい最近まで手ごたえがなく、漸く平成14年
11月6日を第1回として、日本医師会の中に有床診療所検討委員会が取り上げ
られる運びとなりました。15年度最後の委員会が平成16年2月26日に開催され、
厚生労働省医政局総務課との打ち合わせの結果、次の2点が報告されました。

1. 医療法13条で診療所の管理者は入院させている患者を48時間以内に退院
させるよう努めるべきであると規定されていますが、今回、医師が当該患者が
当該診療所において引き続き治療を受けることが適切であると判断した場合は、
「診療上やむを得ない場合」に該当し、48時間規制の適応を受けないことが正式
に認められました。これにより、48時間を超えて入院させているという理由で行政
指導等を受ける心配がなくなったわけです。

2. 医療法13条そのものを全面的に撤廃することについては、現在「医療分野に
おける規制改革に関する検討会」で病院と診療所のありかたについて議論して
おり、その議論を踏まえて、平成18年の医療法改正時に具体的方向性を提示
することになりました。委員会としては、有床診療所の基本理念である「医師一
人」で提供する入院医療であることを強く主張し続けることを確認しました。尚、
16年度診療報酬改正で、有床診療所の入院基本料1群1に医師二人以上の
場合、40点の加算が認められましたが、これは基本理念に反するもので、強く
抗議することになりました。

有床診療所の位置づけ

神奈川県有床診療所協議会設立時の、故加藤雅光会長は、有床診療所の
地域医療計画における位置づけを、1次、2次、3次の医療ではなく、0次及び
1.5次の医療を行う立場であると主張しました。特に0次の医療とは始めて唱
えられた立場で、細分された医療の中で専門技術を標榜し、独自な治療を
施療する有床診療所を指しています。1.5次は有床診療所に一番多い医療
形態で、コメディカが活躍する小回りの効く効率的な医療です。然しながらこ
の時から17年も経ち、医療の環境は大きく変貌して来ました。
1.医療の発達による変化
 人工授精、遺伝子診断、治療、再生医療、臓器移植、高額機器による診断
、治療、などが格段に進歩しています。
2.予防医療と機能訓練
生活習慣病の予防がやっと点数化され、各段階に於けるリハビリテーション
がレベルアップしました。
3.ホスピスを含む終末医療
人の終末の迎え方に疑問が生じており、療養型施設が見直されています。

 何れも、1.2.3次の医療に入りきれなくなり、むしろ大病院には不向きであり、
新しい器が必要になっています。今度の医療改革の中でどのように論議され
ているのか気にかかるところですが、小回りの効く有床診療所の存在が別の
視点から脚光を浴びるような気がします。然しながら、資本の蓄積無しに有床
診療所はスタート出来ないので、資本の集め易い形態の導入が考えられるの
は当然の成り行きです。かって全国有診の松本専務理事は、普通の診療所が
自転車とすれば、有診は小回りのきく軽自動車だと言い、中医協(中央医療
協議会)厚生省の一木氏は、一般診療所を小売店、大病院をスーパー、百貨店
とすれば、有診は専門店だと言い、熟練した医師が一人でする効率的な医療を
大切にしなければならないとしました。医療の環境は著しく変わりましたが、ま
だ進歩の途上にある医療には研究心の強い真撃な個性が必要であり、有床診
療所の使命は、益々高いレベルで発揮されなけれぱならないと考えます。
 最後に介護保険との関わりですが、平成12年4月施行されてより5年目になり、
来年見直しが行われますが、この制度は本来医療の中にあるべき介護を民生に
広げ、介護力の速成と国の負担を軽くするため、地域に責任を転嫁すると共に、
株式会社の参入を許したため、急速に充実し、既に過競争の弊害が見られる程
です。又、同時に医師の指導的立場に並立する介護支援専門員制度を創設し、
看護師を頂点とするコ.メディカルの専門性を高めています。勿論、この制度によっ
て障害老人を持つ家庭にとっては大きな福音となりましたが、家族介護者に対す
る給付がなかったため、施設への捨老が促進され、寝たきり老人の増産、家庭
倫理の崩壊という愁うべき副産物の発生を秘めております。有床診療所の対応は
、内科領域に於いて重大であり、特に介護療養型を採用する場合はさまざまな条
件をクリアし、余程積極的に対応しないと経営を維持出来ないことになります。
総てを理解して設計すれば、効率よく、社会的貢献度の高い施設となることも確
かです。
 この有診ニュスはこれから会員のご意見、ご経験、ご趣味など、場合によると
こちらからお願いしてご寄稿いただきたいと考えております。医師は国士である
というプライドを復権させたいものです。          小笹慶資記
2004.7.5